2002 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子LATS2キナーゼのM期チェックポイントにおける役割の研究
Project/Area Number |
14033225
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
薮田 紀一 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (10343245)
|
Keywords | 癌抑制遺伝子 / キナーゼ / Lats / Aurora / 中心体 / 抗リン酸化抗体 / M期チェックポイント / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
申請者は、新規癌抑制遺伝子として単離したLats2キナーゼの機能解析を行ってきた。その過程でLats2が細胞周期依存的、特に微小管重合阻害剤ノコダゾールで処理したときに特異的なリン酸化制御を受けていることを見出だした。これはLats2が細胞周期(チェックポイント)制御に関与している可能性を示唆する。そこで、このリン酸化を制御するプロテインキナーゼを同定するために候補となるキナーゼ蛋白質をいくつか精製しin vitro kinase assayを行った。その結果、Lats2蛋白質が中心体キナーゼの一つであるAurora-Aにより特異的にリン酸化されることを発見した。線維芽細胞におけるAurora-Aの過剰発現は中心体の異常増幅および染色体不安定性を引き起こし、細胞をトランスフォームすることが報告されている。Aurora-Aによるリン酸化部位を決定するためにLats2のアミノ酸置換変異体を作製してkinase assayを行い、少なくともそのうちの一つが83番目のセリン残基(S83)であることを明らかにした。さらに、この部位に対する抗リン酸化モノクローナル抗体を作製し、この部位がin vivoにおいてリン酸化されていることも確認した。これらの成果により、今まで不明だったLats2のリン酸化シグナルカスケードの端を明らかにできた(投稿中)。現在、Aurora-AによるS83のリン酸化の生理的意義を明らかにするための実験を進めている。 また、LATS2ノックアウト(KO)マウスの作製も順調に進行している。現在キメラマウスの作製が終了し、ヘテロ欠損マウスができつつあるのでホモ欠損マウスの誕生まであと少しのところである。さらに、LATS1のKOマウスの作製も同時に行っているので、両者が作製できた後にはLATS1・LATS2のダブルKOマウスを作製し解析を行う予定でいる。
|