2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14033232
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中井 彰 山口大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60252516)
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Keywords | 細胞周期 / 熱ショック蛋白質 / 転写因子 / Cdc2 / Hsp90 / HSF / ストレス / チェックポイント |
Research Abstract |
細胞は、温熱ストレスや放射線など様々なストレスにさらされると、細胞周期進行を止め死に至る。一部のものは、ストレスから回避されると再び細胞周期を進行させて増殖を開始する。申請者は、ニワトリBリンパ球細胞株DT40細胞において、熱ショック転写因子群がHsp90の構成的な発現維持に関わっており、Hsp90がCdc2蛋白質の高温での安定性を規定していることを示した。本研究では、HSF1-Hsp90-Cdc2の制御系の意味とHSF1の役割をマウス個体で調べることを目標とする。 申請者は、正常なDT40細胞においても、わずか高い温度で培養すると一過性にCdc2蛋白質の不安定化による減少が見られること、それと一致して細胞周期のG2/M期での一過性の停止が見られることを見いだした。Cdc2蛋白質はHsp90によって安定化されていると考えているが、実際にCdc2蛋白質はHsp90と結合していることが分かった。一方、Hsp90の発現量の低下により減少する蛋白質の同定を2次元電気泳動にて試みたが、Hsp90が低下することで、高温条件で特異的に不安定化する新たな蛋白質は同定できなかった。従って、Cdc2は特異的にHsp90により高温条件にて安定化される蛋白質である可能性がある。Hsp90が高温での生存に必要であることの分子基盤の一つが明らかになってきた。 一方、HSF1欠損胎児線維芽細胞においてはHsp90をはじめとして主要な熱ショック蛋白質の構成的な発現に変化はない。従って、HSF-Hsp90の制御がすべての細胞に普遍的ではない。そこで、マウスの各組織の解析を行い、DT40細胞同様にHsp90の発現低下している組織を明らかにした。従って、ある一群の組織、細胞においてはDT40と同様に細胞周期進行にHSF1の制御が働くことを示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] J.Nishizawa et al.: "Increased preload directly induces the activation of heat shock transcription factor 1 in the left ventricular overloaded heart"Cardiovasc. Res.. 55. 341-348 (2002)
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[Publications] J.M.Shallom et al.: "Microwave exposure induces Hsp70 and confers protection against hypoxia in chick embryos"J. Cell. Biochem.. 86. 490-496 (2002)