2002 Fiscal Year Annual Research Report
位置情報の認識による領域の区画化とその形態形成における役割の解明
Project/Area Number |
14034212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小嶋 徹也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80262153)
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Keywords | 形態形成 / モルフォゲン / 位置情報 / ホメオボックス遺伝子 / 発現制御 / Bar / Lim1 / hedgehog |
Research Abstract |
発生過程における基本的なメカニズムの1つは、モルフォゲン・シグナルによる位置特異的な転写因子群の発現の誘導による領域の区画化である。本研究では、ショウジョウバエの成虫肢の発生過程をモデルシステムとして、その具体的なメカニズムや各転写因子の下流について解明する事を目指している。 (1)前年度に引き続き、隣り合う領域で発現するホメオボックス遺伝子群Barとal, Lim1, cllの関係を詳細に検討し、これらの遺伝子間には非常に複雑で巧妙な制御関係があり、それにより確実な領域の区画化を保証していることを明らかにした。 (2)マイクロアレイによるディファレンシャル・ディスプレイ方により、Barの下流遺伝子を網羅的にスクリーニングし、βPSインテグリンをコードするmewを含むBar下流遺伝子の候補を幾つか同定した。 (3)成虫肢は、後部区画特異的に発現するホメオボックス遺伝子enにより、前後の区画に分けられている。前後軸に沿った区画化の機構を更に理解するために、前後軸に沿った特定の領域で発現する遺伝子をエンハンサー・トラップ法を用いてスクリーニングした結果、前部区画特異的に発現する新規膜タンパク質をコードする遺伝子pxbを見出した。pxbとenの発現領域の間には隙間があり、pxbと後部区画で発現する分泌タンパク質をコードするhhの解析から、Hhタンパク質はhhを発現している後部区画に隣接する領域において、自身の活性を抑制する因子をコードするpxbの発現を抑制する事により、非常に強いシグナル強度を維持し、この領域の性質を決定している事が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Inaki, M., Kojima, T., Ueda, R., Saigo, K.: "Requirements of high levels of Hedgehog signaling activity for medial-region cell fate determination in Drosophila legs : identification of pxb, a putative Hedgehog signaling attenuator gene repressed along the anterior-posterior compartment boundary"Mechanisms of Development. 116. 3-18 (2000)