2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14034220
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
國貞 隆弘 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30205108)
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Keywords | ES細胞 / 網膜 / レンズ / 網膜色素上皮 / Pax6 / 再生 |
Research Abstract |
ES細胞をPA6ストロマ細胞株と共培養することで形成される培養眼は、レンズ状の10層以上の細胞から形成される細胞塊の周囲に単層の色素上皮が接する細胞集団である。色素上皮は特徴的な大きな色素顆粒を持つ6角形の細胞が密集しており形態的には生体の眼の網膜色素上皮と同一で色素上皮のマーカーであるDctを発現していた。細胞塊にはα-A crystallin、α-B crystalline、β-crystalline陽性細胞が検出され、レンズ細胞の存在を示唆する。細胞塊にはBrn3b(ガングリオン細胞)、syntaxin(アマクリン細胞)、synaptphysin(複数の網膜細胞)、vesicular GABA transporter(複数の網膜細胞)、rhodopsin、recoverin、peripherin(いずれも光受容細胞)陽性の細胞が検出され、網膜細胞の存在を示している。crystallin陽性細胞と網膜細胞のマーカーを発現している細胞は完全に混ざり合っているのではなく、同じマーカーを持つ細胞同士が集団を形成していることがわかった。このことは、培養眼はレンズと網膜が完全に分離していないという生体の眼と決定的に異なる点があるにしても、ある程度網膜の層状構造を反映していると考えられる。synaptphysin陽性細胞やvesicular GABA transporter陽性細胞の存在はシナプスが形成され神経伝達が行われる可能性のある構造が出現していることを示唆している。眼のマスタージーン的な機能を果たしている、Pax6欠損変異マウスのホモ接合体は眼を欠損するが、Pax6欠損ES細胞からは培養眼が誘導されることはなかった。このことは、培養眼は生体の眼と同じくPax6に依存して形成されること、つまり眼に相当する器官(構造物)であることを示している。
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[Publications] Yamane, T., Hayashi, S.I., Kunisada, T.: "Embryonic stem cells as a model to study melanocyte lineage"Methods Mol.Biol.. 185. 261-268 (2002)
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[Publications] Yamane, T., Kunisada, T., Hayashi, S.I.: "Embryonic stem cells as a model to study osteoclast lineage"Methods Mol.Biol.. 2185. 97-106 (2002)
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[Publications] Yoshino M, Yamazaki H, Yoshida H, Niida S, Nishikawa S, Ryoke K, Kunisada T, Hayashi S.: "Reduction of osteoclasts in a critical embryonic period is essential for inhibition of mouse tooth eruption"Bone Miner Res.. 18. 108-116 (2003)