2002 Fiscal Year Annual Research Report
Hes7による分節化および前後軸パターン化の分子機構
Project/Area Number |
14034224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
別所 康全 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (70261253)
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Keywords | 体節 / 分節化 / 転写因子 / bHLH / オシレーション / プロテアソーム / ユビキチン化 |
Research Abstract |
脊椎動物の前後軸パターンは、体節に由来する繰り返し構造が基本になっている。 体節は未分節中胚葉(PSM)が2時間周期で分節化することによって形成され、そこで抑制性の転写因子Hes7の発現が体節形成周期と一致してオシレーションしているため、体節形成は分子時計によって支配されていると考えられている。本研究はHes7の分子発現のオシレーションのメカニズムを解明し、分子時計のメカニズムを明らかにすることを目的とする。 Hes因子の分子発現のオシレーションを培養細胞系で再現することを試みた。この系ではHes1が発現している。マウス由来の培養細胞に血清刺激を加えるとHes1 mRNAおよびHes1タンパクの発現が2時間周期で増減を繰り返した。Hes1 mRNA、タンパクともに非常に不安定であり、タンパクはユビキチン化され、プロテアソーム系で分解されることが明らかになった。薬理学的解析に加えて、野生型やドミナントネガティブ型のHes1を強制発現することによって、Hes1 mRNAのオシレーションにはHes1タンパクの合成と分解が必須であり、Hes1がnegative feedback loopを形成し、Hes1タンパクが自身の遺伝子発現を抑制することによって、自律的にオシレーションすることを明らかにした。すなわち培養細胞系においてHes1が2時間周期の分子時計の中心的なコンポーネントであることが明らかになった。 また、PSMにおいてHes7の発現が同様のメカニズムでオシレーションすることを明らかにしつつあり、今後体節形成を支配する分子時計のメカニズムをさらに明らかにしていく計画である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Inoue, T., et al.: "Math3 and NeuroD regulate amacrine cell fate specification in the retina"Development. 129. 831-842 (2002)
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[Publications] Hirata, H., et al.: "Oscillatory expression of the bHLH factor Hes1 regulated by a negative feedback loop"Science. 298. 840-843 (2002)