2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14034236
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中越 英樹 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50314662)
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Keywords | ショウジョウバエ / 形態形成 / モルフォゲン / Notchシグナル / EGFRシグナル |
Research Abstract |
形態形成因子(モルフォゲン)の拡散によって生じる濃度勾配は、個々の細胞に異なる位置情報を与え、各生物に個有な形態を作りあげていく。ショウジョウバエのdefective proventriculus(dve)遺伝子は、形態形成因子Wingless(Wg)、Decapentaplegic(Dpp)に依存して発現するホメオボックス遺伝子である。翅原基においてDveが一過性に発現する背腹境界は、翅の辺縁部を形成し、機械刺激を受容するための特殊な剛毛を生じる。この翅の辺縁部はNotchシグナルによって誘導され、このシグナルは細胞増殖とも密接に関連し、翅原基の増殖とパターン形成を制御している。また、脚原基においてNotchシグナルは同心円状に活性化され、脚原基の増殖および分節化に関与する。蛹期の脚原基において、Notch活性化領域は脚分節様構造の遠位部側で、Dveは分節様構造をまたいで発現するため、両者は分節様構造の遠位部側で部分的な重複を示す。発生の進行に伴ってこの重複部分でのDve発現が抑制されることが、成虫脚分節間をつなぐジョイントと呼ばれる構造を形成するために重要であることをこれまで明らかにしてきた。EGFRシグナルを活性化するリガンド分子Veinは、脚原基の遠位部で発現し、近遠軸に沿った活性勾配を作ることによって、脚の遠位部のパターン形成に関与するという報告がなされている。胚発生期や翅原基におけるdve遺伝子発現はEGFRシグナルによっても制御されているという知見に基づき、今回、Dve発現抑制領域にEGFRシグナルを活性化させる分子を発現させたところ、Notchシグナルを阻害した時と同じようなジョイント構造の欠失が観察された。蛹期におけるEGFRシグナルの活性化領域は、Notch活性化領域ときれいに相補的なパターンを示すことから、EGFRリガンド分子Veinは近遠軸に沿った活性勾配を作ることによって遠位部のパターンニングを行うだけでなく、Notchシグナルとの拮抗作用によりEGFRシグナル活性化領域が周期的なパターンで抑制されることが、Notch活性化、dve発現抑制とともにジョイント形成シグナルを形成しているものと考えられる。
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Research Products
(1 results)