2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経突起成長における低分子量G蛋白質の機能解析および機能的に関連する分子群の探索
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14034244
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
郷 正博 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (00304999)
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Keywords | ショウジョウバエ / 低分子量Gタンパク質 / シグナル伝達 / 遺伝的スクリーニング / 複眼 / 形態形成 |
Research Abstract |
Rac1,Cdc42と機能的に関連する遺伝子群を同定することを目的として、それぞれを複眼の神経細胞において特異的に不活性化させることで適度な表現型(rough eye)を持つショウジョウバエの系統を確立し、それらの表現型についての遺伝的相互作用を見ることによる遺伝的スクリーニングを行なった。突然変異の誘発はX線によって行ない、それぞれ約4万のF1世代のハエをスクリーニングした。その結果、Rac1については約40、Cdc42については約20の再現性のあるエンハンサーを得ることができた。それらの変異体の解析は進行中であるが、現在までにほとんどの変異体を系統として確立した。既知の変異体としては、Delta, Starなどが得られた。StarはEGFのプロセシングに関与する遺伝子であるが、眼の形態形成にも関与すると考えられている。そこで低分子量Gタンパク質の複眼の初期発生における機能について調べてみた。その目的のために眼の形態形成の初期からRac1,Cdc42,EGF受容体をそれぞれ不活性化したところ、眼が非常に小さくなった。一方、EGFシグナルを活性化するためにRas1の活性化を同様に行なってみたところ、予想通り眼の組織に細胞の過増殖が見られた。ところが、Rac1あるいはCdc42を活性化すると、意外なことに複眼が触角に形質転換するという驚くべき事実を見い出した。そこでは複眼原基に本来は起こらない遠位化が起こるが、その分子レベルでの証拠としてDistal-lessタンパク質の異所的発現が起きていることも確認した。またそれを制御するパターン遺伝子の異所的発現が起きていることも確認した。現時点では、Rac1とCdc42が転写を直接制御するというよりは、組織の形態・極性の決定に関与する結果としてパターン遺伝子の発現に異常が起こるという可能性を考えている。
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