2003 Fiscal Year Annual Research Report
体腔内における、内臓器官の三次元配置を決定する遺伝的機構に関する研究
Project/Area Number |
14034256
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松野 健治 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (60318227)
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Keywords | 左右軸 / 左右性 / 左右非対称性 / 消化管 / 形態形成 / 遺伝的スクリーン / ショウジョウバエ / 発生 |
Research Abstract |
外部形態が左右相称な動物においても、その内臓器官は、左右非対称性を示すことが多い。本研究では、ショウジョウバエの消化管にみられる明瞭な左右非対称性に注目した。我々は、内臓器官の左右非対称な三次元構造の形成を制御する遺伝的経路を理解することを目的とし、遺伝学的解析手段が駆使できるショウジョウバエを用いた遺伝的スクリーンによって、消化管の左右性に関与する遺伝子を網羅的に同定することにした。 消化管の左右性に異常を示す突然変異体のスクリーンを行った。3000系統のトランスポゾン挿入突然変異体を対象としたスクリーンによって、消化管の左右性に異常を示すいくつかの突然変異体の同定に成功した。同定した突然変異体のなかでも、消化管組織の分化には影響がみられず、高頻度で逆位が観察されるものに注目した。このうち、特に有望なものが、souther(中・後腸が同調して80%の頻度で逆位)、hidarikiki(中・後腸が同調して50%の頻度で逆位)、single-minded(前・中・後腸が非同調的に30%の頻度で逆位)、puckered(前胃のみ50%の頻度で逆位)、foregut inversus-1、-2、-3(それぞれ、前腸が30%の頻度で逆位)である。これらのなかでも、souther突然変異のホモ接合体胚では、胚の中・後腸の形態が野生型の鏡像になった(80%の頻度で逆位)。このとき、消化管組織のマーカー遺伝子の発現を調べると、組織分化は正常に起こっていた。southerは、ホモ接合体で生存可能であり、ホモ接合体成虫の外部形態や生存能力には顕著な異常がみられないが、消化管や精巣の左右性が逆転していた(100%の頻度)。southerは、胚発生期の消化管と、変態過程で再構築される成虫の内臓器官の左右性に不可欠であることから、左右非対称性の制御に中心的な機能をはたす遺伝子であると予測している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sasamura, T: "neurotic, a novel maternal neurogenic gene, encodes an O-fucosyltransferase that is essential for Notch-Delta interactions."Development. 130. 4785-4795 (2003)
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[Publications] Nakamura, Y: "Species-specific activation of EGF receptor signaling underlies evolutionary diversity in the dorsal appendage number of the genus Drosophila eggshells."Mech.Dev.. 120. 897-907 (2003)
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[Publications] Watanabe, N: "Suppression of differentiation and proliferation of early chondrogenic cells by Notch."J.Bone Miner.Metab.. 21. 344-452 (2003)