2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物葉状器官の左右相称的発生分化におけるAS1,AS2遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
14034257
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
町田 千代子 中部大学, 応用生物学部, 教授 (70314060)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 泰則 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80175596)
小島 晶子 中部大学, 応用生物学部, 助手 (10340209)
|
Keywords | シロイヌナズナ / 葉状器官 / ASYMMETRIC LEAVES1 / ASYMMETRIC LEAVES2 / 葉の発生分化 / ホメオボックス遺伝子 / 左右相称性 / 扁平性 |
Research Abstract |
植物の重要な器官の一つである葉の発生分化の制御機構を解明することは、植物の形づくりとその多様化の仕組みを理解する上で極めて重要である。葉は、扁平であり、葉身の中央にある太い中肋を中心として左右相称である。本研究は、このような特徴をもつ葉状器官の左右相称的発生分化に関与するAS1とAS2遺伝子の機能を明らかにし、葉状器官の発生分化の分子機構を解明することを目的とした。すでに、我々は、AS1、AS2は、葉の分化過程において、幹細胞の維持に関わると考えられているホメオボックス遺伝子KNAT1,KNAT2,KNAT6の発現を葉で抑制することを明かにし、完全な中肋の分化に必須であり、左右の協調的細胞分裂をコントロールする機能をもつ可能性を示唆した(Semiarti et al.,2001)。また、AS2は新奇なドメイン構造(AS2ドメイン)をもつ、植物に特有な新奇なファミリー(AS2ファミリー)のメンバーであることを明らかにした(Iwakawa et al.,2002)。今年度は、(1)AS1、AS2タンパク質が相互作用すること、AS1との相互作用には、AS2ドメインが必要であることを明らかにした。(2)AS1のmRNAは葉原基の突起予定部位で検出され、葉原基や分化した葉では中央部の細胞で検出された。一方、AS2のmRNAは、茎頂メリステム全体、及び葉原基の全体で弱く検出され、葉原基において向軸側の第一層の細胞で相対的には少し強いシグナルが検出された。このようにAS1とAS2mRNAの蓄積パターンは異なるが、AS1の発現領域でAS2を発現させても、as2変異の表現型を相補できることから、AS1とAS2は共同して機能していると考えられる。(3)as2変異体では葉が下向きにカールするのに対して、AS2の発現レベルが野生型よりも高い場合には、葉が上向きにカールし、葉の表側の表皮細胞の細胞数が減少していた。この表現型にはAS1の機能が要求された。この結果は、AS1とAS2の両遺伝子が、葉の表側の表皮細胞の細胞増殖を制御し、扁平な葉の形成に関与していることを示唆している。AS1,AS2は葉の発生過程で、共同して機能し、左右相称的で扁平な葉の形成に関与していると考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Tanaka, H., Watanabe, M.Watanabe, D., Tanaka, T., Machida, C., Machida, Y.: "ACR4, a putative receptor kinase gene of Arabidopsis thaliana that is expressed in the outer cell layers of embryos and plants, is involved in proper embryogenesis"Plant and Cell Physiology. 43. 419-428 (2002)
-
[Publications] Iwakawa, H., Ueno, Y., Semiarti, E., Onouchi, H., Kojima, S., Tsukaya, H., Hasebe, Y., Soma, T., Ikezaki, M., Machida, C., Machida, Y.: "The ASYMMETRIC LEAVES2 gene of Arabidopsis thaliana, required for formation of a symmetric flat leaf lamina, encodes a member of a novel family of proteins characterized by cysteine repeats and a leucine zipper"Plant and Cell Physiology. 43. 467-478 (2002)
-
[Publications] Ichikawa, T., Machida, C., Yoshioka, Y., Kitano, H., Machida, Y.: "The GLOBULAR ARREST1 gene, which is involved in the biosynthesis of folates, is essential for embryogenesis in Arabidopsis thaliana"The Plant Journal. 33. 235-244 (2003)
-
[Publications] 町田千代子: "植物の形造り:葉の組み立て.明日を拓く植物科学.光りエネルギーを生物エネルギーにかえる植物の設計図を読む.第16回「大学と科学」公開シンポジウム講演収録集"クバプロ. 38-47 (2002)
-
[Publications] 上野宜久, 町田千代子, 町田泰則: "葉の発生分化における左右相称性と扁平性の制御機構、植物の形づくり:遺伝子から見た分子メカニズム(編集:岡田清孝、町田泰則、島本功、福田裕穂、中村研三)蛋白質核酸酵素2002,9月号増刊"共立出版. 1570-1575 (2002)
-
[Publications] Machida, C., Iwakawa, H., Ueno, Y., Semiarti, E., Tsukaya, H., Hasebe, M., Kojima S., Machida Y.: "Formation of a symmetric flat leaf lamina in Arabidopsis Morphogenesis and Pattern Formation in Biological Systems (edited by Sekimura T., Noji, S., Ueno N., and Maini, P. K.)"Springer-Verlag Tokyo(In Press). (2003)