2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14034263
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
越田 澄人 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 助手 (40342638)
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Keywords | 発生・分化 / 遺伝学 / シグナル伝達 / 発現制御 / 遺伝子 |
Research Abstract |
脊椎動物の発生過程で、胚の後方領域には原条もしくはこの組織から派生した尾芽が存在する。これらの領域には未分化な細胞集団が存在し、増殖しつつ、その一部が多様な組織へと分化していく。また生じてくる組織は発生の進行に伴って体の前方部の性質を持ったものからより後方のものへと変化していき、その結果としてパターンを持った体幹部が形成される。従って、原条・尾芽における未分化な細胞群の形成・維持、およびその性質の経時的変化のメカニズムを解明することが、脊椎動物の形態形成を理解するうえで必須である。 本研究では、尾芽および体幹部の形態に異常をもつゼブラフィッシュ突然変異体を単離することで、体幹部の形態形成に関与する遺伝子群を収集・分類し、さらに得られた突然変異体の性質を明らかにすることで、脊椎動物の体幹部の形態形成機構を分子レベルで解明することを目的としている。 ENU処理によってゼブラフィッシュ突然変異体を作成し、これまでに約650ハプロイドゲノムのスクリーニングを行い尾芽または体幹部の形態に異常を示す変異体(42系統)を得た。同定した変異体の中には、過去に行なわれた大規模スクリーニングでは報告されていない表現型を示す変異体も含まれていた。尾芽形態異常変異体は15系統得られており、これらは尾芽領域における未分化な細胞群の形成・維持や分化に異常があると考えている。また、体節の分節化に異常を示す変異体を13系統同定した。7系統は、既存のゼブラフィッシュ分節異常変異体と同様の表現型を示したが、6系統は新規の表現型を示した。kt280では頭部の細胞死と尾部側の体節の癒合が見られた。kt293,kt443,kt451,kt664では、頭部側の数個の体節が癒合していた。一方kt259では、頭部側の数個の体節の背側だけが癒合していた。現在、得られている変異体についてさらに詳しい表現型の解析と原因遺伝子の同定を行っている
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