2003 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアtRNA遺伝子突然変異導入マウスの病態解析と遺伝子治療
Project/Area Number |
14035101
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
林 純一 筑波大学, 生物科学系, 教授 (60142113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 茂男 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (00125832)
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Keywords | ミトコンドリア遺伝子病 / マウス突然変異型mtDNA / 病態モデルマウス(ミトマウス) / ミトコンリア間相互作用 / 臨床症状の多様性 / クローンマウス / 核移植による遺伝子治療 / 核ミトコンドリア相互作用 |
Research Abstract |
(研究成果:1)生体内でミトコンドリア間相互作用が存在することの証明 MitoMouseを作製する際、培養細胞に存在する突然変異型mtDNAを導入したが、突然変異型mtDNAが大量に蓄積しないと臨床症状が発症しなかったことから、ミトコンドリア間相互作用の存在が示唆されていた。今年度はこの問題に明確な結論を得るため、再度MitoMouseを作製した。その際、受精卵は種の異なるマウス(Mus spretus)のmtDNAを持つB6mtspr系統を用いた。その結果、突然変異型mtDNAを蓄積したMitoMouseでもやはり臨床症状を発症しなかったことから、生きているマウスの組織でもミトコンドリア間相互作用が存在することが立証された。この研究成果は2004年のGenetics誌に印刷中である。 また同一tRNA遺伝子中の異なった病原性突然変異を持つmtDNA間ではミトコンドリア間相互作用によって呼吸活性が回復しないことが明らかになった(BBRC,2004)。 (研究成果:2)マウスの病原性点突然変異型mtDNAを導入したミトコンドリア病モデルマウスの作製 筆者たちが世界に先駆けて作製したミトコンドリア病モデルマウス(ミトマウス)は大規模欠失型mtDNAを導入したものであった。しかし、ヒトの場合、病原性点突然変異がmtDNAに生じた場合は別の臨床症状を引き起こすことからそのようなミトマウスの作製が急務であった。申請者たちはすでにES細胞を用いることにより、このような点突然変異型mtDNAを導入したミトマウスの作製にごく最近成功し、現在病態を解析した後論文を投稿する予定である。 (研究成果:3)培養ヒト細胞の呼吸欠損発症におけるミトコンドリアと核の相互作用の立証 ミトコンドリア病において、tRNA遺伝子変異によるtRNAの塩基修飾の改善を目標とした治療法開発を研究目的とする。tRNA-Leu(UUR)遺伝子3291変異をもつサイブリド細胞からミトコンドリア機能が回復したクローンを分離した。その回復は核遺伝子の変異によるものであることを確定した。その回復株ではtRNAのアンチコドンのタウリン塩基修飾が回復していたことを確認した。tRNAの塩基修飾を回復させる遺伝子の同定を試みている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Akitsugu Sato: "Interaction theory of mitochondria : a new paradigm for the mammalian mitochondrial genetic system"Genetics. (In press). (2004)
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[Publications] Tomoko Ono: "Presence of interaction but not complementation between human mtDNAs carrying different mutations within a tRNALeu(UUR) gene"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 314. 1107-1112 (2004)
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[Publications] Chu-Shih Chen: "Determination of normal ranges of mitochondrial respiratory activities by mtDNA transfer from 54 human subjects to mtDNA-less HeLa cells for identification of the pathogenicities of mutated mtDNAs"J.Biochem.. 135. 237-243 (2004)
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[Publications] Mayumi Okamoto: "Ditercalinium chloride, a pro-anticancer drug, intimately associates with mammalian mitochondrial DNA and inhibits its replication."Curr.Genet.. 43. 364-370 (2003)
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[Publications] Kanamori, T.: "Truncated product of the bifunctional DLST gene involved in biogenesis of the respiratory chain"EMBO J.. 22. 2913-2923 (2003)
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[Publications] 中田和人: "特集 多彩な機能をもつオルガネラ「ミトコンドリア」ミトコンドリア遺伝子疾患モデルマウスとミトコンドリア病"実験医学. 21. 1724-1729 (2003)