2002 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物CPEBホモログによるmRNA情報の時空間的発現制御機構の解析
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14035203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柏原 真一 筑波大学, 応用生物化学系, 助手 (00254318)
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Keywords | 精子形成 / ポリ(A)ポリメラーゼ / CPEB / 細胞質ポリアデニル化反応 / 転写後調節 / 遺伝子発現制御 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
哺乳動物雄性生殖細胞細胞質特異的に存在するポリ(A)ポリメラーゼTPAPは,精子形態形成に必須である。しかしながら,その標的mRNAやポリ(A)鎖伸長機構については不明な点が多い。申請者は,卵形成過程における母性mRNAの細胞質でのポリ(A)鎖伸長を制御するシス配列であるCPE配列(cytoplasmic polyadenylation element, UUUUU/AAU)とその結合タンパク質CPEBあるいはそのホモログが,TPAPによる球状精細胞特異的なポリ(A)鎖伸長に関与しているのではないかと考え解析を行っている。これまでに同定されているTPAPの標的mRNAは,基本転写関連因子であるTrf2やTFIIAγおよびTAF10などであり,それらの3'非翻訳領域(3'UTR)中にはCPE様配列が存在した。そこでCPE配列をセンスプライマーに用いた3'RACE法により,CPE配列を有するmRNAのいくつかをマウス精巣cDNAライブラリーよりクローニングした。それぞれについて,野生型とTPAP欠損マウス精巣でのmRNAサイズを比較した結果,Nut2などいくつかの転写関連因子がTPAPの標的mRNAであることが明らかとなり,CPE様配列がシス制御配列の一つであることが支持された。しかしながら,CPE様配列を有していてもポリ(A)鎖伸長を受けないものも存在することから,CPE配列は必要条件の一つではあるが,十分条件ではないことが示唆された。一方,CPEBの標的mRNAであるSCP1とSCP3のmRNAのポリ(A)鎖長は,TPAP欠損マウスのパキテン期精母細胞でも野生型と同じであることや,CPEBとTPAPの発現時期は同調していないことから,CPEBはTPAPによるポリ(A)鎖伸長には関与していないことが推測された。そこで,データベース上に存在するほかの3つのCPEBホモログについて発現解析を行った結果,そのうちの一つが精巣で高発現しており,かつTPAPの発現と同調していた。このCPEBホモログに対する特異的抗体が得られたので,タンパク質レベルでの発現・局在を明らかにするとともに,免疫沈降されるmRNAの同定を行うことにより,TPAPによる球状精細胞特異的なポリ(A)鎖伸長への関与について検討している。今後はこのCPEBホモログの解析を進めるとともに,標的mRNAの3'UTRに結合するような制御因子の探索・同定を行うことにより,TPAPによる球状精細胞細胞質特異的な特定のmRNAのポリ(A)鎖伸長制御機構についてさらに解析していく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sugiura, S., Kashiwabara, S., Iwase, S., Baba, T: "Expression of a testis-specific form of TBP-related factor 2(TRF2)mRNA during mouse spermatogenesis"Journal of Reproduction and Development. 49・1. 107-111 (2003)
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[Publications] Kashiwabara, S. (他10名): "Regulation of spermatogenesis by testis-specific, cytoplasmic poly(A) polymerase TPAP"Science. 298・5600. 1999-2002 (2002)
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[Publications] Takahashi, Y., Kako, K., Kashiwabara, S.(他8名): "Mammalian copper chaperone Cox17p has an essential role in activation of cytochrome c oxidase and embryonic development"Molecular and Cellular Biology. 22・21. 7614-7621 (2002)
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[Publications] Baba, D., Kashiwabara, S.(他6名): "Mouse sperm lacking cell surface hyaluronidase PH-20 can pass through the layer of cumulus cells and fertilize the egg"Journal of Biological Chemistry. 277・33. 30310-30314 (2002)
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[Publications] Nishimura, H., Kim, E., Fujimori, T., Kashiwabara, S.(他3名): "The ADAM1a and ADAM1b genes, instead of the ADAM1(fertilin α)gene, are localized on mouse chromosome 5"Gene. 291・1-2. 67-76 (2002)