2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14036215
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上口 智治 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 助教授 (20232738)
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Keywords | 植物ホルモン / サイトカイニン / 生長 / 分化 / 受容体 / 変異解析 / センサーキナーゼ / シグナル伝達 |
Research Abstract |
シロイヌナズナサイトカイニン受容体遺伝子群(AHK2,AHK3,AHK4)の多重変異株は構成細胞数の低下に起因する顕著な矮性表現型を示す。この表現型の原因をさらに詳しく調べるために、1)ahk三重変異体における細胞周期の異同、2)CUC1過剰発現による異所的SAM形成のAHK遺伝子依存性の検討、ならびに3)ahk多重変異株のトランスクリプトーム解析を行った。1)芽生えを用いた細胞周期同調系において倍数性解析ならびに細胞周期マーカー遺伝子の発現解析を行ったが、変異体と野生株の間に顕著な違いは見いだせなかった。2)CUC1の過剰発現は子葉の向軸側に異所的なSAMを形成する。この過剰発現は外植片からの不定芽誘導もサイトカイニン依存的に活性化させる。ahk三重変異株におけるCUC1過剰発現の影響を調べたところ、頻度は低下するものの、異所的なSAM形成は阻害されなかった。このことからin vivoとin vitroにおける異所的なSAM形成の機構が完全に同じではない可能性が考えられる。3)ahk2 ahk3二重変異株およびahk三重変異株を対象にしたトランスクリプトーム解析では、これら変異株で特異的に発現が減少・増加する遺伝子としてそれぞれ約100種・60種の遺伝子を同定した。発現減少を示す遺伝子にはAタイプARRなどのサイトカイニン初期誘導遺伝子が含まれる。サイトカイニン生合成遺伝子の発現上昇と分解・不活化酵素遺伝子の発現低下は、シグナル伝達による内性ホルモン量の調節機構を示唆する。また主要熱ショックタンパク質遺伝子の発現が顕著に上昇しており、多重変異株がタンパク質の変性を伴う何らかのストレス状態に置かれていることを示している。多数のレドックス関連遺伝子の発現も影響されることから、サイトカイニンシグナルと細胞内酸化還元バランスの調節の関連性が示唆された。
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Research Products
(2 results)