2002 Fiscal Year Annual Research Report
KDEL受容体の障害による細胞内蛋白凝集の生成機序の検討
Project/Area Number |
14037211
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
青江 知彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90311612)
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Keywords | KDEL受容体 / quality control / 小胞体 / ストレス反応 |
Research Abstract |
新生分泌蛋白、膜蛋白は小胞体で、高次構造の形成、複合体形成などを受け機能的に成熟し、細胞内の適切な場所に輸送されて機能を発現する。異常蛋白は小胞体において、分子シャペロンによるquality controlを受け分解除去される。異常蛋白が小胞体に集積すると、分子シャペロンの産生増加、蛋白合成抑制、異常蚤白の分解促進などの小胞体ストレス反応が起るが、同時に分泌系に関与する蛋白の遺伝子発現も促進される。 可溶牲小胞体分子シャペロンのカルボキシ末端にはKDELアミノ酸配列があり、小胞体から分泌されてもゴルジ体でKDEL受容体によってKDEL配列が認識され小胞体に逆輸送される。そこで、このKDEL受容体による蛋白輸送の小胞体ストレス反応への関与を検討した。 小胞体ストレス下に増大した異常蛋白と小胞体分子シャペロンの一部は小胞体のquality controlを逃れて、小胞体から分泌され、KDEL受容体によって再び小胞体へ逆輸送されることが示唆された。また、KDEL受容体の機能が障害された細胞ではquality controlを逃れて、細胞内に凝集するか、ゴルジ体からさらに細胞外へと分泌された。また、この細胞では小胞体ストレスへの感受性が増大していた。従って、KDEL受容体による逆輸送は小胞体ストレス反応に寄与していることが示唆された。 今後、KDEL受容体トランスジェニックマウスを作製し、個体レベルでのKDEL受容体の機能を解析して行く予定である。
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