2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物プラスチドにおける蛋白質輸送の分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
14037236
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中井 正人 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90222158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 真吾 大阪大学, たんぱく質研究所, 日本学術振興会特別研究員
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Keywords | 葉緑体 / プラスチド / 蛋白質輸送 / 蛋白質膜透過 / レドックス制御 / 分子シャペロン / オルガネラ / 光合成 |
Research Abstract |
本研究では、プラスチドへの蛋白質輸送を細胞内での蛋白質群の一連の流れ「プロテインフラックス」と捉え、その機能と制御の分子メカニズムおよびその生理的意義を解明することを最終目的とし、プラスチドへ蛋白質を輸送する装置がどのような分子メカニズムによって蛋白質をプラスチド内へと運んでいくのか、さらに、さまざまな分子シャペロンがどのような役割を分担して機能しているのか明らかにすることを目的とする。 これまで葉緑体へのタンパク質輸送は、周囲の光環境によらず同様に起こると考えられてきたが、本年度の解析から、ある種の前駆体タンパク質は光照射の有無によって大きく輸送特性が変化することがわかってきた。トウモロコシフェレドキシン(Fd)イソタンパク質のうち、緑葉にも構成的に存在するが主に根で機能する非光合成型のFdIIIは、Dark条件では単離葉緑体内に効率よく取り込まれ成熟体に変換されるのに対し、Light条件では葉緑体内包膜を通過せず前駆体のまま膜間部に蓄積する。このFdIII前駆体の蓄積は、光化学系電子伝達阻害剤DCMUを添加したり、反応系から還元剤DTTを除くと観察されなかった。一方、Dark条件下でも、過酸化水素やジチオールの修飾試薬PAOの添加により葉緑体内への輸送が抑制され前駆体の蓄積が観察された。これらの実験結果は、光照射による光合成電子伝達反応の駆動と、それに伴う葉緑体内のレドックスコンポーネントの酸化還元状態の変化や、付随して生じると考えられる活性酸素種による酸化ストレスによってFdIII前駆体の内包膜の透過が影響を受けることを示している。 さらに、シロイヌナズナ・トウモロコシでは、包膜の蛋白質輸送についての変異体の解析も進行中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 中井 正人: "葉緑体への輸送"わかる実験医学シリーズ「細胞内輸送がわかる」. 1. 68-77 (2002)
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[Publications] Masato Nakai: "Molecular Scaffolds Involved in Iron-sulfur Cluster Biosynthesis"Recent Research Developments in Proteins. 1. 1-11 (2002)
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[Publications] Kozo Morimoto: "Identification of a novel prokaryotic HEAT-repeats-containing protein which interacts with a cyanobacterial IscA homologue"FEBS Letters. 519. 123-127 (2002)