2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14037257
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森 正敬 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40009650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 和豊 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (00253724)
後藤 知己 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (20264286)
矢野 正人 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (60315299)
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Keywords | 一酸化窒素 / アポトーシス / 小胞体ストレス / CHOP / ミトコンドリア / Akiraマウス / 神経細胞死 / Bax |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)は血管拡張、神経伝達、殺菌など様々な生理機能を持つ一方で、過剰に産生されると細胞死を引きおこし、種々の病気の発症に関与すると考えられている。従来、NOによる細胞死はDNA障害とp53の活性化を介するとされているが、その詳細は不明であった。最近われわれは、小胞体ストレス経路を介するNO誘導性アポトーシスの新しい経路を発見した。マウスβ細胞由来のMIN6細胞やマクロファージ株細砲に低濃度のSNAP(NO放出剤)を加えたところ、アポトーシスをおこしたが、DNA障害やp53の誘導は認められなかった。ところが、小胞体ストレスを介するアポトーシスに関与することが知られている転写因子CHOP/GADDI53が著しく誘導されることを見出した。CHOPノックアウトマウスの膵島細胞やマクロファージはNOに抵抗性を示した。これらの解析より、NOによるアポトーシスが小胞体ストレスに引き続くCHOPの誘導を介しておこることが明らかとなった。またインスリンの変異を持つAkitaマウスの糖尿病や、脳虚血による神経細胞死も小胞体ストレス-CHOP経路が関与し、CHOP遺伝子の破壊により著しく改善されることを見出した。次いで、CHOPの下流を解析し、カスパーゼ3の活性化やシトクロムcの流出などより、ミトコンドリア経路を介することが分かった。さらに、CHOPによるアポトーシスがBaxのミトコンドリア移行を伴うこと、Bcl-2の過剰発現により抑制されること、Baxのノックダウンによっても抑制されることを見出した。以上の結果、小胞体ストレス→CHOP誘導→Baxのミトコンドリア移行→ミトコンドリア経路の活性化→アポトーシスという新しい経路が明らかとなった。今後CHOPからBaxに至る経路の詳細と他の病気への関与を明らかにしたい。
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Research Products
(5 results)