2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14038207
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
社本 真一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90235698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 剛 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80134039)
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Keywords | YTiO_3 / 軌道波 / 金属・絶縁体転移 / Wigner結晶 |
Research Abstract |
YTiO_3の単結晶試料を用いて,ラザフォード・アップルトン研究所のパルス中性子より,高エネルギー励起である軌道波の中性子による初めての観測を試みた.その結果,温度変化のある高エネルギー励起の観測に成功したが,同時に水素原子の反跳による散乱も観測された.そのために軌道波と水素原子の振動とが区別できなくなり,結論が出せなかった.今後,試料の脱水素処理を行い,再実験を行いたい.Y_<1-x>Ca_xTiO_3粉末試料については,アルゴンヌ研究所のパルス中性子を利用した中性子散乱を行い,PDF解析による局所構造解析を行った.その結果,相分離を発見し,論文として現在投稿中である。また決定した局所構造を元に,ab initio cluster計算を行った結果,x=0でのTiサイトの軌道状態は,偏極中性子回折で求められているものと良く似ていることが確認できた.今後この方法での研究が可能なことがわかった.また2重ハニカム格子系で,最高25.5Kの高温超伝導が発見されているが,この系において,独自のバンド巾制御を考案し,キャリアドープされたLi_xYOCl試料で,初めて絶縁体を発見した.この結果は英語で解説し,本として今年出版される.興味深いことに,その基底状態はエネルギーギャップが29meVと大きなスピンシングレット状態(Wigner結晶)である.これは超伝導転移温度T_cに換算すると約60Kに相当する.この我々独自のユニークな発見により,超伝導・絶縁体転移研究をまったく新しい方法で行うことが可能になった.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Miyazaki, et al.: "Incommensurate structure of Ca_<1-x>CuO_2"J. Solid State Chemistry. 163. 540-545 (2002)
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[Publications] S.Shamoto, et al.: "Substitution Effects on Ferromagnetic Mott Insulator Lu_2V_2O_7"Journal of Physics and Chemistry of Solids. 63. 1047-1050 (2002)
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[Publications] T.Sato, et al.: "High-resolution angle-resolved photoemission study of BaCo_<1-x>Ni_xS_2"Surface Review and Letters. 9. 1127-1132 (2002)
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[Publications] S.Shamoto, at.al.: "Structural study of Na_xHfNCl System"Solid State Sciences. (in press).
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[Publications] T.Yokoya, et al.: "Valence-band-photoemission study of β-ZrNCl and quasi-two-dimensional superconductor Na_xZrNCl"Phys. Rev. B. (in press).
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[Publications] Shin-ichi Shamoto: "Recent Research Developments in Physics"Transworld Research Network, India. (2003)