2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14038209
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
五十嵐 潤一 特殊法人日本原子力研究所, 放射光科学研究センター・物質構造シミュレーショングループ, 主任研究員 (20127179)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 学 群馬大学, 工学部, 助教授 (50250816)
|
Keywords | 遷移金属酸化物 / 共鳴X線散乱 / K吸収端 / 磁気円二色性 / ヤーンテラー / 軌道秩序 / 磁気散乱 / スピン軌道相互作用 |
Research Abstract |
電子状態の第一原理計算を、強相関電子系物質の典型である遷移金属化合物におけるX線散乱および吸収スペクトルの解析に適用し、以下の成果を得た。 ・遷移金属化合物で軌道秩序を示す典型物質KCuF_3におけるK(1s)吸収端共鳴X線散乱(RXS)スペクトルを計算し、実験結果を再現すると共に、その強度はヤーンテラー歪から生じることを明らかにした。スペクトル強度は軌道秩序の直接の反映であるとする主張を明確に否定するもので、今後の実験データ解釈の重要な指針となる。 ・KCuF_3の反強磁性秩序に対応したRXS(磁気RXS)のスペクトルの計算を行い、スピン軌道相互作用を考慮することで、実験結果を再現することに成功するとともに、スペクトル強度は4p電子状態におけるスピン分極ではなく軌道分極から生じていることを実験結果の解析から明らかにした。 ・典型的反強磁性体NiOに対して、磁気RXSスペクトルの計算を行い、実験結果を再現すると共に、その機構を明らかにした。この成果は、前の成果とも合わせて、中性子散乱実験と相補的な位置にある磁気RXS実験の解析への道を開くものである。 ・強磁性金属Mn_3GaCにおけるK(1s)吸収端磁気円二色性(XMCD)スペクトルを、スピン軌道相互作用を考慮した第一原理計算に基づき解析した。MnおよびGaのK吸収端における形状の相違点を含めて、スペクトル形状の微細な構造の起源まで同定でき、4p電子の軌道分極の機構が解明できた。多くの遷移金属化合物でも同様のスペクトル形状を示すことから、今後のXMCD実験結果の解釈の指針となる結果である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Takahashi: "Resonant X Ray Scattering in YTiO_3 and YVO_3"Surface Rev.Lett.. 9・2. 1197-1201 (2002)
-
[Publications] T.Nagao: "5d States and Resonant X-Ray Scattering from CeB_6"Surface Rev.Lett.. 9・2. 1203-1207 (2002)
-
[Publications] M.Takahashi: "Lattice Distortion and V K Edge Resonant X-Ray Scattering in YVO_3"Physical Review B. 65. 205114-205117 (2002)
-
[Publications] J.Igarashi: "Resonant X-Ray Scattering from CeB_6"J.Phys.Soc.Jpn.. 71・7. 1771-1779 (2002)
-
[Publications] M.Takahashi: "Magnetic Resonant X-Ray Scattering in KCuF_3"Physical Review B. (掲載予定). (2003)
-
[Publications] J.Igarashi: "Lattice Distortion and Resonant X-Ray Scattering in DyB_2C_2"J.Phys.Soc.Jpn.. (掲載予定). (2003)