2002 Fiscal Year Annual Research Report
電子ニユートリノ振動パラメータの精密測定のための新い粒子検出技術の基礎開発研究
Project/Area Number |
14039201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末包 文彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10196678)
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Keywords | 液体シンチレーター |
Research Abstract |
大容量の素粒子検出器を可能にするための新しい液体シンチレーターの開発研究を行っている。そのため安価で透明度が高い純水をベースにした液体シンチレーターの開発を行っている。水をベースにして液体シンチレーターを作るには、その中に発光剤と芳香族、或いは環状構造をもった分子を溶かし込む必要がある。発光剤としては、カムランド実験で使用したPPOを選定した。発光剤を水に溶かし込むためには、発光剤が溶け、さらにそれが水に溶ける溶媒を使用すれば良いが、ベンゼン環あるいは、環状構造を含むそのような有機溶媒として、有害性や、値段などを勘案しながら、ベンジルアルコール、ジオキサン、シクロヘキサノール、などをリストアップした。これらの溶媒と発光剤を様々な割合で水に溶かし、安定性を調べた。ベンジルアルコール及びシクロヘクサノールは3〜4%水に溶け込ませることが出来、PPOも0.3〜0.4g/L溶かし込むことが出来ることが判明した。ジオキサンは、発光剤を水に溶かし込む能力が小さいことが判明した。ベンジルアルコール及びシクロヘクサノールと発光剤の水溶液に対してコバルト60線源を用いて発光量の測定を行った。その結果、非常に僅かではあるが、発光が認められたが、チェレンコフ光に邪魔され発光量の測定には到らなかった。P->Kvなどの陽子崩壊中の荷電K粒子の検出に利用出来る可能性があるので、今後は中性子により反跳された陽子などを利用して発光量の測定を行うと共に、他の有機溶媒の可能性も調べる。又、今年度は、CHOOZやBorexinoの実験グループと情報交換をするため、ヨーロッパに視察を行った。
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