2003 Fiscal Year Annual Research Report
電子ニユートリノ振動パラメータの精密測定のための新しい粒子検出技術の基礎開発研究
Project/Area Number |
14039201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末包 文彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10196678)
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Keywords | ニュートリノ / 液体シンチレーター / 素粒子実験 / 素粒子検出 |
Research Abstract |
大容量の低エネルギーニュートリノ検出器を可能にするための新しい液体シンチレーターの開発研究を行っている。そのため、安価で透明度が高い純水をベースにした液体シンチレーターを目指して開発を行っている。水をベースとした液体シンチレーターを作るには、水の中に発光剤と、芳香族或は環状構造をもつ分子を溶かし込む必要がある。前年度は、水溶性の芳香族を2、3ピックアップし、それと発光剤を水に溶かせ、発光量を測定したが、明かな発光は見られなかった。今年度は、水に解ける芳香族液体のほぼ完全なリストをつくり、それらを水に溶かした際の発光剤の可溶度や発光などの測定を行ったがやはり満足行く結果は得られなかった。そこで、次にベンゼン環をもつ様々な界面活性剤を利用して発光剤を溶かし込み、発光量や、光減衰長を測定した結果、水(81%)+ドデシル硫酸ナトリウム(19%)+PPO(0.7%)+bis-MSBの組み合わせで4.2%アントラセンの発光量と、420nmの波長に対し、220cmの光減衰長をもつ液体シンチレーターを開発することに成功した。この結果は、平成15年度秋の物理学会で発表された。また学生が一人この研究で修士論文を書いた。 又、上記の研究並行して、電子ニュートリノ振動パラメータθ13の精密測定のための、ガドリニウム入りの液体シンチレーターの調査及び、検出器の検討を行った。ガドリニウム入り液体シンチレーターは、有機ガドリニウムが安定であることが分かり、検出器は、ニュートリノ量を誤差1%以下で測定するためには4重構造にしならければならないことが分かった。これらの結果は、数々のセミナーや国際会議で発表し、θ13の精密測定実験に向けての国際共同グループの、組織化を行った。
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[Publications] 末包文彦, 井上邦雄, 荒木孝之, Kim Jongok: "Precise measurement of sin^<★★>2 theta(13) using Japanese reactors"NOON03 Proceedings, arxive, hep-ex/0306029. 8 (2003)
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[Publications] 大和田憲太郎: "水を主成分とする液体シンチレーターの開発"東北大学修土論文. 59 (2004)
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[Publications] 末包文彦, 他 International Reactor theta 13 working group: "A New Nuclear Reactor neutrino Experiment to Measure theta-13"arxive, hep-ex/0402041. 157 (2004)