2002 Fiscal Year Annual Research Report
液体キセノンガンマ線検出器のキャリブレーションシステムの開発
Project/Area Number |
14039203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三原 智 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (80292837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真下 哲郎 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (60181640)
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Keywords | 素粒子実験 / 液体キセノン / ガンマ線検出器 / 光電子増倍管 / μ→eγ探索実験 |
Research Abstract |
光電子増倍管の詳細な応答を調べるために、キセノン検出器大型プロトタイプ真空容器に光電子増倍管アレイを挿入し、α線源を配置した後、容器を低温ガスキセノンで満たして量子効率の算出を行った。量子効率の算出に液体ではなくガスキセノンを使用したことで、キセノン中での散乱、吸収の影響を考慮する必要がなくなり信頼性の高い算出が可能となった。利得の算出には、真空容器を液体キセノンで満たした後、容器内に配置した青色LEDを発光させて行った。連続的にLEDを点滅させるとともに、LEDに供給する電圧値を順次変化させることで応答の線形性も同時に計測する方法を開発した。とりわけ、利得の算出時に誤差として取り込まざるを得なかったノイズ成分を、線形性を見ることにより分離することが可能となった。これらの開発により、液体キセノン用光電子増倍管を実際の使用条件下で校正する方法が確立された。 放射線源を使用した検出器校正を行うために、μ→eγ実験用ガンマ線検出器に対してAm-Beガンマ線源を3次元的に駆動する装置の設計、製作を行った。当初計画していた液体キセノン中での放射線源の駆動はキセノン中に不純物を混入させる可能性があるため外部からガンマ線を照射する方法へと変更した。このため、ガンマ線検出器前面に配置されている超伝導電磁石内でも動作可能な駆動装置の製作が必要となった。この装置を製作するにあたっては磁場中でも動作可能な超音波モータを採用し、また駆動部分の位置検出にレーザーダイオードを採用した小型の位置センサーを装備することにより100μmの精度で位置検出が可能な駆動装置を製作することに成功した。 並行して、詳細なパラメータを取り入れたシミュレーションプログラムの開発を行った。これを利用して、μ→eγ探索実験時に物理過程による検出器校正方法の検討を開始した。この校正方法の検討は平成15年度も引き続き行う。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 三原 智他: "Development of a Liquid Xe Photon Detector for m->eg Decay Search Experiment at PSI"IEEE, Transaction of Nuclear Science. 49. 588-591 (2002)
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[Publications] 三原 智他: "液体キセノンガンマ線検出器の開発研究"低温工学. 38巻3号. 94-99 (2003)
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[Publications] 三原 智他: "R&D work on a liquid-xenon photon detector for the μ→eγ experiment at PSI"Nuclear Instruments and Method A. (発表予定). (2003)