2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14041215
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹内 淳 早稲田大学, 理工学部, 教授 (80298140)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 剛正 早稲田大学, 理工学部, 助手 (00339699)
|
Keywords | 量子ドット / 量子ドットレーザー / 高均一量子ドット / 時間分解フォトルミネッセンス / 準位間緩和時間 / フォノンボトルネック |
Research Abstract |
0次元構造である量子ドットは状態密度がデルタ関数的であり、また、振動子強度が大きいためレーザーの閾値電流を下げると期待されている。しかし、量子ドットレーザーなどの光デバイスにおいてはフォノンボトルネックが閾値電流の低減や高速動作の障害となる可能性がある。そこで今年度は量子ドット内のフォノンボトルネック現象を高時間分解計測を用いて調べた。量子ドット中での高エネルギー側の量子準位から下の準位へのキャリアのエネルギー緩和では、エネルギー保存則と運動量保存則を満たす必要がある。通常は、LOフォノン放出をともなうエネルギー緩和が支配的であるが、離散的なエネルギー準位をもつ量子ドットでは、その準位間のエネルギー差と一致するフォノンがないため、LOフォノンを介したエネルギー緩和が抑制され、準位間の緩和時間が遅くなると予想されている。本研究では、極めて高均一な量子ドットを用いることによって各準位の発光の観測を可能にした。明瞭に分離された各準位のPLスペクトルの時間分解フォトルミネッセンス測定を行い、レート方程式を用いて直接的に準位間緩和時間を導出した。その結果、再結合時間は、高温になるにつれ短くなったが、準位間緩和時間は、温度に依存せずほぼ一定であった。この長い準位間緩和時間は、フォノンボトルネックによることが明らかになった。10Kから200Kの結果から300Kの準位間緩和時間を外挿すると、320psとなる。この遅い準位間緩和時間は量子ドットの基底準位にキャリアを供給するのを妨げ、室温での発光デバイスの動作に影響を及ぼすと考えられる。また、一方では高エネルギー準位でのキャリアの滞在時間を引き延ばすため、高エネルギー準位でのキャリアスピンの振る舞いの観測を可能にすると予測される。
|
Research Products
(2 results)