2002 Fiscal Year Annual Research Report
微生物エステラーゼの農薬系内分泌撹乱物質分解技術への応用
Project/Area Number |
14042225
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
早津 雅仁 静岡大学, 農学部, 助教授 (70283348)
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Keywords | カーバメイト / 有機リン / エステラーゼ |
Research Abstract |
Burkholderia sp. NF100はフェニトロチオンを有機リンエステラーゼ(Fed)により加水分解し、生成した3-メチル-4-ニトロフェノールを唯一の炭素源・エネルギー源として生育する。基質特異性の広いFedは有機リン系農薬分解技術に有用と考えられる。そこでFedの性質を明らかにするために精製方法を検討した。培養菌体を超音波破砕し超遠心したところ酵素活性は沈殿に認められた。沈殿(膜画分)を各種界面活性剤により抽出したところ0.1%Nonidet P-40により安定的に酵素を可溶化することができた。この可溶化酵素液を40%硫安塩析し沈殿を緩衝液に溶解し、陰イオン交換クロマトグラフィー(Q Sepharose)に吸着させ0〜0.3MNaClにより溶出した。活性画分を濃縮しゲル濾過(Sephacryl)に供した。以上の精製により比活性が130倍となったが、SDS-PAGE、銀染色で単一バンドにはならなかった。Burkholderia sp. NF100の有機リンエステラーゼ遺伝子(fed)の3つのORFを上流域からORF1,2,3とした。ORF1に変異を導入したとき酵素活性は完全に消失したことから、ORF1は酵素活性の触媒サブユニットをコードしていると考えられた。ORF2またはORF3に変異を導入した場合、酵素活性は1/10程度に低下した。またORF2とORF3両者に変異を導入したとき、1/20以下に活性が低下した。ORF2のDNA配列から推定したアミノ酸配列に基づき解析したところ、ORF2は疎水性のアミノ酸配列が規則的に連続した構造をとっていた。以上の結果からORF1は触媒サブユニットでORF2はこれを細胞膜に局在化させるサブユニットと考えられた。
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