2002 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌攪乱物質のオーファンレセプターを介する作用発現機構
Project/Area Number |
14042233
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西川 淳一 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (90218131)
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Keywords | 内分泌攪乱物質 / 環境ホルモン / 核内レセプター / 生殖毒性 / オーファンレセプター |
Research Abstract |
ステロイドや甲状腺ホルモンなどの脂溶性低分子生理活性物質の受容体である核内レセプター群は、多細胞生物の内分泌調節系の主要な部分を担っている。これら内分泌攪乱物質の潜在的なターゲットと考えられる核内レセプターファミリーは、ゲノム解析によりヒトゲノム上には48種類存在することが確認された。48種類の内訳は、これまでにリガンドが明らかにされているレセプターが23種類、リガンド未同定のいわゆるオーファンレセプターが25種類であった。本課題では、オーファンレセプターを含む48種類すべてのレセプターへの内分泌攪乱物質の影響を調べることを最終目標として、簡便、迅速かつ経済性に優れた新規スクリーニング系の開発を進めている。 アッセイ系は、核内レセプターによる転写活性化がレセプターとコアクチベーターのリガンド依存的な相互作用に始まることを利用している。具体的には、抗GST抗体を通してマイクロウエルプレート上に固定化した核内レセプターに、化学物質とともにコアクチベーターとアルカリフォスファターゼの融合タンパク質を加え、洗浄後プレート上に残ったアルカリフォスファターゼ活性を検出する。 これまでに、新規核内レセプターリガンド検出法を用いて、エストロゲンレセプター(ER)のアッセイ系を構築した。披験化合物として、内因性リガンドである17β-Estradiol(E_2)、内分泌攪乱物質のNonylphenolおよびBis-phenol Aを用いた。結果、E_2については10-^<10>Mから、NonylphenolおよびBis-phenol Aについては10-^5Mから応答が認められた。これは、現在広く用いられている主要なエストロゲン検出系である哺乳動物細胞でのレポーター遺伝子アッセイに匹敵する検出感度であり、酵母を用いた方法や、蛍光偏光法を用いた試験管内結合試験に較べると、10倍以上の感度が得られた。また、同様のアッセイ系をビタミンAレセプター(RAR)、レチノイドXレセプター(RXR)、甲状腺ホルモンレセプター(TR)、ビタミンDレセプター(VDR)、ペルオキシソーム増殖剤応答性レセプター(PPAR)に適応したところ、それぞれのリガンドに対して、良好な用量-応答曲線が得られた。
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