2002 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質による核内受容体SXRを介した乳癌細胞における標的遺伝子の同定
Project/Area Number |
14042269
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
小澤 安則 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (10124306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 学 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (00265141)
竹下 章 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (20322646)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / SXR / MDR1 / DEHP / SRC-1 / フタル酸化合物 / ポリ塩化ビニル / 多剤耐性 |
Research Abstract |
はじめに)我々は内分泌撹乱物質であるビスフェノールAやフタル酸化合物であるDEHPがオーファン核内受容体SXRにリガンドとして結合し、SRC-1等のコアクティベーターとのと結合をリクルートする事によってCYP3A4の転写を活性化する事を報告した(Eur J Endocrinol 145(4):513-7,2001)。SXRは癌細胞の抗癌剤に対する多剤耐性獲得に関与する膜蛋白であるMDR1(multidrug resistance 1(P糖蛋白質))の遺伝子発現も調節する事が最近報告された。そこで今回は内分泌撹乱物質であるDEHPがSXRを介してMDR1遺伝子の発現を調節しているかどうか検討した。 実験方法)ヒト大腸癌細胞株LS174T細胞を用いたトランスフェクションによるレポーターアッセイとreal time PCRにより検討した。 実験結果)RT-PCRによりLS174T細胞にはSXRが内因性に発現している事を確認した。LS174T細胞のメディウムにDEHPを添加刺激する事によりMDR1遺伝子のレポーター活性は上昇した。このレポーター上でDEHP依存性にSRC-1がリクルートされた。DEHPを添加刺激培養したLS174T細胞のトータルRNAを抽出しReal time PCRを用いてMDR1遺伝子発現を解析したところDEHP用量依存性にMDR1発現は上昇した。 結論)DEHPはSXRを介してMDR1発現を調節している。DEHPは点滴静注に用いられるポリ塩化ビニル製の輸液セットからmgオーダーで溶出するため、癌治療時におけるポリ塩化ビニル製の輸液セットの使用が癌細胞の多剤耐性を助長する危険性があると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akira Takeshita et al.: "Putative role of the orphan nuclear receptor SXR (steroid and xenobiotic receptor) in the mechanism of CYP3A4 inhibition by xenobiotics"The Journal of Biological Chemistry. 277・36. 32453-32458 (2002)
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[Publications] Toshiharu Iwasaki et al.: "Polychlorinated biphenyls suppress thyroid hormone-induced transactivation"Biochemical and Biophysical Research Communications. 299・3. 384-388 (2002)