2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14044013
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 雅彦 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (30158117)
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Keywords | ヘリセン / 光学活性 / ラセン / 折れたたみ / 不斉認識 / DNA / 不斉 |
Research Abstract |
キラリティーが分子の性質に大きな影響を与えることから,四面体不斉と軸不斉がよく研究されてきた.ところが,ラセン不斉の研究はほとんど進んでいない.ラセン構造の低分子化合物を供給できなかったためである.さて,ヘリセンは立体的な要因のために多環芳香族化合物がねじれた構造をとり,ラセン不斉を有する化合物である.1950年代に発見され,多くの関連化合物が合成されたが,その性質はあまりわかっていない.申請者の研究は,ヘリセンのひとつである1,12-ジメチルベンゾ[c]フェナントレンの大量合成法を確立し,四面体不斉の分子ワールドに対応するラセン不斉の分子ワールドを構築することにある.本研究では特にヘリセンを連結した光学活性大環状複素環に着目している. ヘリセンを含む大環状アセチレンのうちで,3量体が有機溶媒中で強く選択的に二分子会合することに注目した.とくに環状アセチレン部をリンカーで連結したオリゴマーの会合挙動を検討した.その結果,柔軟なリンカー部を有する化合物は強固な分子内会合を起こすが,剛直なリンカー部を有するものは二分子会合することを見出した. ヘリセンジアミン誘導体の合成法を確立した.これを用いて,右ラセン構造を有する二重鎖DNAが左ラセンヘリセンよりも右ラセンヘリセンとより安定な複合体を形成することを明らかにした.これは,ラセン高分子化合物とラセン低分子化合物の不斉認識はじめて明確にしたものである.現在,ヘリセンを含む環状および鎖状ポリアミン化合物の合成法を開発している.
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[Publications] S.Honzawa, S.Chiba, H.Okubo, M.Yamaguchi: "One-Step Synthesis of Optically Active Cyclic Polyamines Containing Helicene"Heterocycles. 57. 1091-1099 (2002)
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[Publications] S.Honzawa, H.Okubo, K.Nakamura, S.Anzai, M.Yamaguchi, C.Kabuto: "Folding of Dihelicenetriamines in Water"Tetrahedron : Asymmetry. 13. 1043-1052 (2002)
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[Publications] S.Honzawa, H.Okubo, S.Anzai, M.Yamaguchi, K.Tsumoto, I.Kumagai: "Chiral Recognition in the Binding of Helicenediamine to Double Strand DNA : Interactions between Low Molecular Weight Helical Compounds and a Helical Polymer"Bioorganic & Medicinal Chemistry. 10. 3213-3218 (2002)