2003 Fiscal Year Annual Research Report
三員環多元素化合物チイレンの新規合成法の開発とその化学
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14044016
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中山 重蔵 埼玉大学, 理学部, 教授 (90092022)
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Keywords | チイレン1-オキシド / Lawesson試薬 / α-ジチオン / 立体保護効果 / 1,2-ジチエット / ab initio計算 / ビススルフィン / エチレンジチオラト白金錯体 |
Research Abstract |
チイレン1-オキシドとLawesson試薬(LR)の反応によって、立体保護効果によって安定化されたα-ジチオンの合成に初めて成功した。すなわち、ジ(1-アダマンチル)チイレン1-オキシドに塩化メチレン中室温でLRを5分間反応させると、20%の単離収率でα-ジチオン(1)が得られた。1は紫色の結晶で、151-153℃で淡黄色結晶のジチエット、(2)に異性化した。1から2への異性化反応は溶液中でも定量的に進行した。1から2への異性化の活性化パラメータを算出するため、CDCl_3中での反応を^1H NMRによる追跡実験を行った。その結果、異性化は、一次の速度式に従い進行し、活性化パラメータはΔH^【thermodynamics】=18.3±1.7kcal mol^<-1>、ΔS^【thermodynamics】=-20.2±5.6cal K^<-1>mol^<-1>、ΔG^【thermodynamics】_<298>=24.3±3.4kcal mol^<-1>であった。X線結晶構造解析にふさわしい単結晶が得られなかったので、計算により1の最適化構造を求めた。二つのアダマンチル基は106.2°の二面角でねじれていた。2の対応する二面角が6.0°であることが以前に求められており、1から2への異性化では遷移状態で二面角が0°に近い配座をとると考えられる。1を0℃で3当量のm-CPBAで酸化するとビススルフィンの3種の異性体、3EE-、3EZ-、および3ZZ-体、が31:27:41の比で定量的に得られた。2の同条件下での反応では、3EE-、3EZ-、および3ZZ-体が30:10:1の比で得られた。1と2当量のエチレンビス(トリフェニルホスフィン)白金(0)の反応では、エチレンジチオラト白金錯体4を45%の収率で与えた。当初予想されたビス白金錯体は得られなかった。2の同条件下での反応でも4が48%の収率で得られた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Ono: "Synthesis and Properties of Monocyclic 5H-1,2-Oxathioles (Cyclic α,β-Unsaturated Sulfenic Acid Esters)"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 76・3. 613-617 (2003)
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[Publications] Y.Ono: "Synthesis and Characterization of the Aliphatic α-Dithiones, Di(1-adamantyl)- and Di-tert-butylethanedithiones"J.Am.chem.Soc.. 125・40. 12114-12115 (2003)