2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14044018
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90117846)
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Keywords | パプアミド / 環状デプシペプチド / L-ホモプロリン / β-メトキシチロシン / D-3-ヒドロキシロイシン / L-3,4-ジメチルグルタミン / L-2,3-ジアミノブタン酸 / 動的速度論分割法 |
Research Abstract |
パプアミドAおよびBは1999年パプアニューギニアの海綿から単離された7つのアミノ酸からなる環状デプシペプチドを母核に4つのアミノ酸と2,3-Dihydroxytrimethyldecan-(4Z,6E)-dienoicacid (Dhtda)からなる側鎖が結合した構造を有している。非蛋白性アミノ酸L-ホモプロリン(L-Hpr),β-メトキシチロシン((β-OMe)Tyr),D-3-ヒドロキシロイシン(D-(β-OH)Leu),L-3,4-ジメチルグルタミン(L-(3,4-DiMe)Gln),L-2,3-ジアミノブタン酸(L-Dab)を含む興味ある構造であるが一部の立体構造は不明である。パプアミド類は海洋起源であるため物質供給に問題があり,また極めて強い抗HIV活性ならびに抗腫瘍活性をもつことから合成化学的に構造決定ならびに物質供給に寄与できるものと考え,パプアミド類の全合成研究を開始した。 まず環状骨格に含まれるβ-OMeTyrの絶対配置を決めるためβ-OMeTyrの4種の異性体全てを合成した。すなわち、ガーナーアルデヒドとベンジルオキシフェニル金属の付加反応により必要な二ケ所の立体化学を持つアミノアルコール誘導体を得、生じた水酸基をO-メチル化の後、セリン由来の水酸基をカルボキシル基に酸化することにより合成した。4種の異性体を合成するために付加の段階は非立体選択的な合成法を採用した。 また、環状構造を構築するために必要なD-(β-OH)LeuはRu-(S)-BINAPを用いる動的速度論分割法をより立体選択的に合成した。すなわち、イソ酪酸無水物とイソシアノ酢酸メチルとの反応により得られるオキサゾールを酸加水分解の条件で開環し、アミノ基をベンゾイル基で保護した後、得られたα-アミノーβ-ケト酸メチルエステルをRu-(S)-BINAPで高圧還元し、100%de、97%eeの立体選択性でsynの立体配置のD-(β-OH)Leuを得た。このものの水酸基の立体化学は必要なD-(β-OH)Leuとは逆であるので、塩化チオニルで処理して、分子内閉環反応により反転し、必要な立体配置とした。 β-OMeTyrの絶対配置は構造決定の際に得られているトリペプチドL-Hpr-β-OMeTyr-L-(N-Me)Thrもしくは環状デプシペプチド構造それぞれ4種を合成し,天然品とNMRを比較することにより決定する計画である。これまでに環状構造の前駆体の合成に成功し、閉環反応を検討中である。
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