2003 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス共役メタラサイクルの位置選択的合成と電子機能分子への変換
Project/Area Number |
14044021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 寛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70156090)
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Keywords | メタラサイクル / コバルト / ルテニウム / 幾何選択性 / π共役高分子 / レドックス / 高分子錯体 / 強磁性 |
Research Abstract |
芳香性を有するπ共役メタラサイクルは、π共役導電性高分子のユニットとして注目される。完全に位置選択的なメタラサイクル形成反応の達成は、π共役長を制御する上で重要である。本研究では、完全に位置選択的環形成を達成し、さらに高分子化によって、電子機能分子を合成することを目的とする。ここでは、ルテニウムを含むメタラサイクルに関し、以下の結果を得た。 新規ルテニウム錯体[(HexCp)RuBr(cod)]と4-ethynylbiphenylとの反応におけるルテナシクロペンタトリエンの生成反応機構について調べた。その結果このメタラサイクルはさらに反応し、アセチレンの環化三量体が生成した。このメタラサイクル形成反応において、各化合物の濃度の時間変化を^1H-NMRスペクトルにより追跡した。各化合物の時間変化を説明するために反応機構を提案した。この反応機構においては、アセチレンが一分子のみ配位した中間体が生成し、これがメタラサイクルと反応し得るとした。この機構でアセチレン過剰の場合にメタラサイクルが減少しなかったことを説明できた。 次に高分子錯体の合成を行った。[(HexCp)RuBr(cod)]と4,4'-diethynylbiphenylを0℃で反応させることでポリ(ビフェニレンルテナシクロペンタトリエニレン)を合成した。このポリマー錯体の^1H-NMRスペクトルから、ポリマー錯体は単一構造のメタラサイクル環のみで構成された高分子であることが見出された。ポリマー錯体の分子量分布をGPCの測定から推定し、M_n=3400,M_w=5800と得た。UV-vis-NIR吸収スペクトルおよびサイクリックボルタンメトリーの測定から、共役系が拡大していることが示された。モノマー錯体の還元体ESR測定から、不対電子がルテナサイクルに非局在化していることが示唆された。さらにポリマー錯体の還元体のESR測定より、分子内でのルテナサイクルサイト間のスピン間に強磁性的な相互作用があることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Kurashina, M.Murata, T.Watanabe, H.Nishihara: "Synthesis of Poly(biphenylene ruthenacyclopentatrienylene), a New Organometallic Conducting Polymer with Ferromagnetic Interaction in its Reduced State"J.Am.Chem.Soc.. 125(41). 12420-12421 (2003)
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[Publications] H.Nishihara, M.Kurashina, M.Murata: "Organometallic conducting polymers synthesized by metallacycling polymerization"Macromol.Symp.. 196. 27-38 (2003)
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[Publications] M.Kurashina, M.Murata, H.Nishihara: "Synthesis and Physical Properties of π-Conjugatged Metallacycle Polymers of Cobalt and Ruthenium"Macromol.Symp.. (印刷中).