2002 Fiscal Year Annual Research Report
環状アルコキシボレートを反応中間体とする有機合成の新展開
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14044028
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 雄一 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (90153650)
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Keywords | 合成化学 / 有機ホウ素化合物 / 環状ボロネートエステル / 転位反応 / 生理活性化合物 / カップリング反応 / アリルスルホナート |
Research Abstract |
ボレートを経由する転位-環化反応の開発に成功した。すなわち,脱離基を有するボロネートエステルに有機金属(R-m)が付加して生成するボレートを加熱したところ,ホウ素原子上のアルキル基(R)がオレフィン部のα位へ転位し,同時にβ位に生じたアニオンが分子内の脱離基炭素を攻撃し,相当するシクロペンタンが収率よく合成できた。この際,ジオールリガンドとしてピナコール,脱離基としてTsO基をもつボロネートエステルにR-MgCl(n-Bu, Ph等)を作用させた場合,環化反応が最も収率よく進行した。 一方,ボレートとsp^2炭素系ハライドとのカップリング反応によって生成する(2Z),4(E)-ジエニルアルコールから(3E)-アルケン-1,2,5-トリオール誘導体に変換する方法を確立した。このトリオール誘導体は官能基に富み,ポリオールや糖合成の中間体として有用である。この反応を活用して,(3E)-アルケン-1,2,5-トリオール構造を有するdecarestrictine D(新しいタイプのコレステロール阻害剤)の合成を行った。相当するアルケニルアルコールの合成と上述した変換反応はどちらも収率よく達成でき,トリオール・キー中間体を立体選択的に与えた。合成の後半ではラクトン化を検討した。従来のアセトナイド基を有するセコ酸ではラクトン化が低収率でしか進行しなかったが,その原因を分析し,新規なMOMオキシ・セコ酸を設計した。そして,このセコ酸が従来より高収率でラクトン化し,新しいタイプのコレステロール阻害剤開発の基礎を築くことができた。 また,アリルスルホナートとのカップリング反応ではメシロキシ基が脱離基になることを初めて示すことができた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Kobayashi, A.D.William, R.Mizojiri: "Alkylation of 4-substituted 1-acetoxy-2-cyclopentenes by using copper reagents derived from alkylmagnesium halides and CuCN"J.Organometal.Chem.. 653. 91-97 (2002)
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[Publications] 小林雄一: "隣接位に水酸基を有するシス,トランス共役オレフィンの合成と生理活性分子の合成"有合化. 60. 361-369 (2002)
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[Publications] Y.Kobayashi, A.D.William: "Coupling Reactions of α-Bromoalkenyl Phosphonates with Aryl Boronic Acids and Alkenyl Borates"Org.Lett. 4. 4241-4244 (2002)
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[Publications] Y.Kobayashi: "Construction of a Sterically Congested cis, trans Diene by Using a Nickel-Catalyzed Coupling Reaction and Application"Latest Frontiers of Organic Synthesis, Ed by Y.Kobayashi. 108-119 (2002)