2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14044045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 義 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40229696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 浩徹 京都大学, 工学研究科, 助手 (60335198)
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Keywords | 人工レセプター / 溶媒接触面積 / 熱力学パラメータ / 疎水相互作用 / コンフォーメーション変化 / 静電相互作用 / 分子動力学 / 事前組織化 |
Research Abstract |
われわれは、タンパク質などの生体高分子と同等あるいは、それを超える分子認講能を有する人工レセプターの合成を検討してきた。そのための戦略として、1)分子が親水基で覆われていて水溶性であること、2)分子内部に疎水空問を有すること、3)疎水空間内に極性官能基を有すること、の3つの要件を満たす分子として、ポルフィリンレセプター1-3を報告した。今回、この分子が非常に高い分子認識能を示すメカニズムを検討した。 種々のゲスト分子に対する親和性の比較、エンタルピー、エントロピー変化の評価、NMRスペクトルの解析などから、ゲスト分子との相互作用において、疎水相互作用、電荷移動相互作用が重要であるとともに、レセプター分子自身のコンフォーメーション変化が非常に重要であることが示唆された。すなわち、これらのレセプターは、水溶液中でアルキル鎖が水に露出した不安定なコンフォーメーションをとっており、ゲストの捕捉によりこのコンフォーメーションエネルギーが解放されることがゲスト認識のための大きな駆動力になっていると予想された。 この予想は、さらに、分子動力学計算を行って、レセプター分子1の溶媒接触面積を評価すると、1の溶媒接触面積は、4000Å^2であるのに対して、1のパーエステル体では、3600Å^2であり、アルキル鎖末端のカルボン酸噌静電唇発がレセプター分子のコンフォーメーションを規定する重要な要因になっていることが示された。これらのことから、水溶性人工レセプターの設計指針として、分子のコンフォーメーション制御の重要性、動的、エネルギー的事前組織化の重要性を明らかにすることができた。今後、この戦略に基づいて生理活性分子を強く捕捉する人工レセプターの設計と合成を目指す。
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[Publications] Mizutani, T., Wada, K., Kitagawa, S.: "Hydrophobic Environment of Gable-type Bisporphyrin Receptors in Water Promotes Binding of Amines and Oligopeptides"Chem. Commun.. 15. 1626-1627 (2002)
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[Publications] Uemura, K., Mizutani, T.他5名: "Novel Flexible Frameworks of Porous Cobalt(II) Coordination Polymers That Show Selective Guest Adsorption Based on the Switching of Hydrogen-Bond Pairs of Amide Groups"Chem. Eur. J.. 8・16. 3586-3600 (2002)
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[Publications] Kurahashi, T., Mizutani, T., Yoshida, J.: "Functionalized DMAP catalysts for regioselective acetylation of carbohydrates"Tetrahedron. 58・43. 8669-8677 (2002)
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[Publications] Wada, K., Mizutani, T., Matsuoka, H., Kitagawa, S.: "A New strategy for the Design of Water-soluble Synthetic Receptors : Specific Recognition of DNA Intercalators and Diamines"Chem. Eur. J.. 9(印刷中). (2003)