2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14044045
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
水谷 義 同志社大学, 工学部, 教授 (40229696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 浩徹 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60335198)
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Keywords | ポルフィリン / 分子認識 / 疎水相互作用 / 高分子 |
Research Abstract |
水溶性レセプターの合成は、タンパク質やDNAなどの生体高分子の分子認識機構の解明や生理活性分子の分離・検出などを行うための基本となるものであるが、これまでに、合成方法の立場から詳細な検討は行われてきていない。特に、疎水性と親水性の二面性をもつ分子を合成する必要があり、親水基の導入のタイミングなどが、合成の成否を分けるものと考えられる。われわれは、これまでの研究で、疎水性のポルフィリンを骨格に用いて分子認識サイトを構築し、これに親水性部位を導入する方法についていろいろと検討してきた。 水溶性を付与するための官能基としてアニオン性のカルボキシレートを多数導入したポルフィリンについては、以前に報告したが、この分子は、不十分な疎水空間を有することが分かった。そこで、中性の親水性官能基としてポリエチレンオキシドを導入したポルフィリンの合成方法を検討した。 合成方法としては、末端にカルボン酸基をもつポルフィリンをまず、合成し、これを、末端がアミノ基のポリエチレンオキシドと縮合剤でカップリングさせた。このようにして合成した水溶性ポルフィリンレセプターは、いろいろなアミンを水中で取り込み、特に効果的に疎水相互作用が働くことが分かった。特に、いろいろなアルキル鎖の長さをもつ4-アルキルピリジンとの結合定数を吸収スペクトルで測定すると、アルキル基の炭素が1つ増えるごとに3.5kJ/mol分の結合自由エネルギーの増加が見られた。これは、水とオクタノールなどの分配係数から見積もったメチレン基1つあたりの自由エネルギーとほぼ同じであり、水中に理想的な疎水空間が構築されていることが分かった。 水溶性高分子と疎水性人工レセプターの組み合わせで、いろいろなレセプターの合成が可能であると期待でき、将来のいろいろな展望を示すことができた。
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[Publications] T.Mizutani, K.Kozake, K.Wada, S.Kitagawa: "An Efficient Recognition Motif for an Alkyl Moiety in Water"Chemical Communications. 2918-2919 (2003)
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[Publications] K.Wada, T.Mizutani, S.Kitagawa: "Synthesis of Functionalized Porphyrins as Oxygen Ligand Receptors"The Journal of Organic Chemistry. 68・13. 5123-5131 (2003)
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[Publications] K.Wada, T.Miztuani, H.Matsuoka, S.Kitagawa: "A New Strategy for the Design of Water-Soluble Synthetic Receptors : Specific Recognition of DNA Intercalators and Diamines"Chemistry, A European Journal. 9・10. 2368-2380 (2003)
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[Publications] T.Mizutani, S.Ygai: "Linear tetrapyrroles as functional pigments in chemistry and biology"Journal of Poryphyrins and Phthalocyanines. (印刷中). (2004)
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[Publications] 水谷 義, 山本 泰彦(分担): "生体機能関連化学実験法"化学同人. 233 (2003)