2002 Fiscal Year Annual Research Report
マンガン(III)に基づくラジカル反応を利用したシロキサン架橋大環状化合物群の合成
Project/Area Number |
14044078
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西野 宏 熊本大学, 理学部, 教授 (50145281)
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Keywords | シロキサン架橋大環状化合物 / ラジカル環化反応 / 酢酸マンガン(III) / donor-acceptor錯体 / ケイ素 / 分子内ライジカル環化反応 / 分子間ラジカル環化反応 / 複素環化合物 |
Research Abstract |
我々はこれまでに酢酸マンガン(III)によるオリゴメチレン=ビス(β-ケトエスチル)類と末端ジエン類の分子間および分子内ラジカル環化反応に基づく大環状化合物の合成を見いだし、報告してきた。この反応は酢酸マンガン(III)の特異な構造に基づくアルケン部位(donor)とβ-ケトエスチル部分(acceptor)によるdonor-acceptor錯体形成を経ることにより大環状化が達成されると考えられ、シクロファン型大環状化合物合成へ応用することによって、50員環までの大環状化合物を中程度から良い収率で合成できた。 今回我々は、炭素族元素であるケイ素を含む化合物を用いて同様の反応を行えば、donor-acceptor型中間体を同様に経てケイ素を含むユニークな大環状化合物が合成できると考え、検討を行った。ケイ素を含む化合物としてシロキサン架橋した末端ジエン類を合成し、酢酸マンガン(III)存在下オリゴメチレン=ビス(β-ケトエスチル)類との反応を種々の条件で行った。 その結果、反応は段階的に進み、ジヒドロフランモノマー中間体を経由して引き続き分子内環化が起こり、シロキサン架橋部分を含む大環状化合物が得られることを見いだした。シロキサン架橋15員環化合物は実際に単離できた。しかし、炭素-ケイ素結合は炭素-炭素結合よりも弱く求電子攻撃を受けて切断しやすいこと、また、末端ジエンの先端がモノ置換であるためジヒドロフラン環生成の際の中間体ラジカルが不安定と考えられ、大環状化合物の収率は最高で22%であった。そこで、アリルブロミドを出発物質としてシロキサン架橋した末端ジエン類にさらに長いメチレン鎖を導入し、末端アルケン部位を二置換にしたシロキサン類の合成を検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Satoaki Onitsuka, Hiroshi Nishino^*: "Synthesis of Polyfunctionalized Furans from 1-Aryl-2-pentene-1,4-diones"Tetrahedron. 59. 755-765 (2003)
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[Publications] Shunsuke Jogo, Hiroshi Nishino, ^* Mikio Yasutake, Teruo Shinmyozu: "Manganese (III)-based intramolecular macrocyclization of 3,3-diphenyl-2-propenyloxyoligomethylene 3-oxobutanoates"Tetrahedron Lett.. 43(50). 9031-9034 (2002)
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[Publications] Md.Taifur Rahman, Hiroshi Nishino^*: "Pressure Effect of Manganese (III)-Based Oxidative Free-Radical Substitution of Aromatic Compounds"Cryogenices Report of Kumamoto University. 13. 6-10 (2002)