2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規高反応活性金属錯体の開発とその電子授受能力を利用した複素環化合物の合成
Project/Area Number |
14044081
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永島 英夫 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (50159076)
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Keywords | 分子触媒 / ラジカル環化反応 / REDOX / ルテニウム錯体 / アミジナート配位子 / アルカロイド / 炭素-炭素結合生成 |
Research Abstract |
本研究は、有機金属錯体の反応活性な金属中心を、金属まわりの配位子により創製される立体的、電子的な環境の制御を設計しつつ構築することを、とくに、高活性な金属中心を金属と配位子により形成される金属を含む環状構造(メタラサイクル)を注目して達成し、その酸化還元能力の精密制御をメタラサイクルを構成する元素や置換基により達成することを通じて、効率的な触媒的複素環合成反応の実現を図ることを目的とする。 本研究は、(I)特異な酸化還元能力をもつ高反応活性有機金属錯体の開発、(II)高反応活性錯体の酸化還元能力の検証と、それを活用した有機基質活性化能力の開発、(III)得られた錯体を触媒とする有機合成反応〜高選択的高速複素環合成反応の開発、の3段階からなるが、本年度は、とくに、金属と複数の窒素原子を含むメタラサイクリックな構造をもつ新規有機ルテニウム錯体において、環状構造、置換基、原子価を変えてその酸化還元能力の調整をおこなうことにより、反応に最適な錯体設計を実現することに成功した。とくにRu(II),Ru(III)単核ルテニウムアミジナート錯体、複核構造をもつ高活性錯体の開発に成功し、効率的なN-アリルトリクロロアセトアミドの環化反応によるラクタム合成用の新しい触媒となることを証明した。とくに、安定で取り扱いやすい中性の複核ルテニウムアミジナート錯体に、アニオンを加えて活性種を発生させる方法は、有機合成上有用である。この触媒は、とくにアルカロイド骨格を含むラクタム合成に有用であることを、ピロリチジンアルカロイド骨格の不斉合成を達成することにより証明した。また、(I)に関連した新規ルテニウムアミジナート錯体の開発、(III)に関連したN-アリルジクロロアセトアミドの環化反応、タンデム型反応、不斉環化反応について、基礎的な成果を集積した。
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[Publications] Hayashida, T., Nagashima, H.: "Access to Novel Ruthenium-Amidinate Complexes, (η^6-arene)Ru(η^2-amidinate)X and [Ru(η^2-amidinate)(MeCM)_4]^+PF_6^-by Photochemical Displacement of the Benzene Ligand in (η^6-C_6H_6)Ru(η^2-amidinate)X"Organometallics. 21. 3884-3888 (2002)
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[Publications] Nagashima, H., Gondo, M., Masuda, S., Kondo, H., Yamaguchi, Y., Matsubara, K.: "Organoruthenium (II) and (III) Amidinates, (η^5-C_5Me_5)Ru(η-amidinate) and (η^5-C_5Me_5)RuCl(η-amidinate), as Unique Redox Catalysts for Intramolecular Kharasch Reactions : Facile Access to Pyrrolitizine Alkaroid Skeletons under Mild Conditions"Chem. Commun.. 442-443 (2002)