2002 Fiscal Year Annual Research Report
フィッシャーカルベン錯体を用いる多元素環状化合物の新規合成法の開発
Project/Area Number |
14044097
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
秋山 隆彦 学習院大学, 理学部, 教授 (60202553)
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Keywords | カルベン / アルジミン / アリルアミン / クロムカルベン錯体 / 熱反応 |
Research Abstract |
我々はこれまで、アルケニルフィッシャークロムカルベン錯体とイミンの熱反応をルイス酸存在下行うことにより、[3+2]付加環化反応が進行し、3-ピロリン誘導体が収率よく得られることを報告している。また、光学活性なクロムカルベン錯体を用いることにより[3+2]付加環化反応が高ジアステレオ選択的に進行しすることも明らかにしている。 今回我々は、フィッシャークロムカルベン錯体とイミンとの熱反応について検討した。Hegedusらにより、イミンとの光反応でβ-ラクタム誘導体が得られることが知られているが、熱反応については報告例がない。 その結果、メチルフィッシャーカルベン錯体をベンジリデンアニリンとともにTHF中加熱還流したところ、低収率ではあるものの新規化合物であるアリルアミン誘導体が得られた。そこで、窒素原子上の置換基および溶媒について検討を行ったところ、窒素原子上に強い電子求引性基であるトシル基の置換したイミンを用い、ジクロロエタン中で加熱還流を行うと、最も良好な収率(73%)でアリルアミン誘導体が得られることがわかった。 さらに、カルベン炭素上のα位に置換基を有するカルベン錯体を用いても対応するアリルアミン誘導体が得られた。本反応においては、まず熱反応によりカルベン錯体から一酸化炭素が脱離し、ケテン-イミン錯体が生成した後、四員環アザクロマサイクルを経て進行し、アリルアミン誘導体が生成すると考えている。
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[Publications] K.Sangu, H.Kagoshima, K.Fuchibe, T.Akiyama: "Novel Thermal Reaction of Fischer Carbene Complexes with Imines : Synthesis of β-Methoxy Allylic Amine Derivatives"Organic Letters. 4・22. 3967-3969 (2002)