2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14045205
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
窪田 健二 群馬大学, 工学部, 教授 (40153332)
|
Keywords | 界面活性剤 / リン脂質 / 可溶化剤 / 分子集合体 / Bicelle / 光散乱 / 小角X線散乱 / 相図 |
Research Abstract |
Bicelleは、リン脂質のアルキル鎖間の疎水性相互作用にもとづく、リン脂質リッチな円板状の2重膜構造が、その円周部を界面活性剤(可溶化剤)の規則的な配列により安定化された円板状の分子集合体である。これは生体膜モデルの一つであり、膜タンパク質などの構造解析に有用な媒体と考えられる。本研究では、リン脂質としてDMPC、可溶化剤としてCHAPSOを用いて、その構造・相図について検討した。全界面活性剤濃度Ct=50mM以下の範囲で、[DMPC]/[CHAPSO]=qを変化させ、温度30℃の条件で、光散乱(DLS及びSLS)ならびにSAXSにより集合体の構造を検討した。q=0.2〜2.0の範囲でのDLS測定によると、流体力学的半径はq>1において急激な増大を示し、0.5〜1.0においては極めて単分散性の高nmサイズの集合体が形成される。SAXS測定からも、規則的な電子密度分布を持った構造であることがわかる。典型的な散乱関数の例を図に示す。ギニエ解析から求まる回転半径と流体力学的半径の比は、このqの範囲では1よりも小さく、コンパクトな構造を持っていることがわかる。リン脂質が2重膜構造をもったBicelleが形成されているとしてモデル計算した結果は実測の散乱関数をよく説明する。また、集合体中に組み込まれたDMPC, CHAPSOのモル数とその集合体の分子量を求めた結果は、2重膜表面中にもCHAPSOは分布していることが示唆された。円板状、あるいは、棒状の集合体構造がq値の増加と共に、表面でのDMPC, CHAPSOの分布を変えずにサイズを増大させるというスキームではなく、膜表面でのDMPC, CHAPSOの分布はqの増加とともに変化し、大きなq値ではCHAPSOが排除されると共に、サイズ(円板の半径)が増加することがわかった。
|
-
[Publications] 田谷浩史郎: "リン脂質/可溶化剤混合系のつくるnmサイズ集合体"Polymer Preprints. 51. 577-577 (2002)
-
[Publications] 窪田健二: "リン脂質・可溶化剤による混合ミセル形成"Polymer Preprints. 51. 2346-2347 (2002)
-
[Publications] Koushirou Taya: "Scattering Study of Assembled Structure of Phospholipid and Detergent Mixture"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 27. 605-608 (2002)
-
[Publications] Kenji Kubota: "Structure of Bicelle Formed by Mixed Surfactants"Photon Factory Activity Report. 19. 147-147 (2002)