2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子を有するポリマーの疎水性相互作用を利用した特異な細胞接着基質の構築
Project/Area Number |
14045209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑中 研一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70167584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粕谷 マリアカルメリタ 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (30334361)
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Keywords | ヌクレオシド / 糖鎖ポリマー / 糖転移酵素 / 細胞接着 / 細胞遊走 / ガラクトース転移酵素 / 糖鎖認識 / クラスター |
Research Abstract |
細胞膜表面のガラクトース転移酵素を介した細胞接着や細胞移動などを引き出すために、ポリスチレン上にウリジン、ガラクトース、N-アセチルグルコサミンを配し、それらのポリマーおよびコポリマー上での細胞機能を調べた。 ガラクトース転移酵素を細胞膜表面に有する3T3-L1線維芽細胞は、ウリジンを有するポリスチレン上に強く接着した。これに対して、ガラクトースを有するポリスチレンやN-アセチルグルコサミンを有するポリスチレン上には接着しなかった。一方、3T3-NIH線維芽細胞では、ウリジンを有するポリスチレン上に強く接着するほか、N-アセチルグルコサミンを有するポリスチレン上にも接着した。生体内において細胞外マトリックス上のN-アセチルグルコサミンに細胞接着が起こることから考えて、3T3-NIH細胞のほうが正常な振る舞いであると思われる。そこで、3T3-L1細胞の細胞接着評価系の培地中にUDPを共存させたところ、N-アセチルグルコサミンを有するポリスチレン上にも3T3-L1細胞が接着するようになった。このことは、UDPがガラクトース転移酵素のコンホメーションを変化させ、N-アセチルグルコサミンに対する親和性を向上させたものと考えられる。可溶化したガラクトース転移酵素のN-アセチルグルコサミンに対する親和性がウリジンによって増大することからも、細胞表面のガラクトース転移酵素が細胞接着に関っていることがわかる。 さらに、ウリジンとポリスチレンとの結合の種類を変えても細胞接着には影響しないこと、細胞表面にガラクトース転移酵素を有する他の細胞も接着することなども見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 畑中研一, 白石竜司, 鬘谷要, 奥山光作: "主鎖中にオリゴ糖鎖を有する芳香族ポリエステルの合成"日本化学会誌. 2002・1. 53-55 (2002)
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[Publications] 畑中研一, 栗原史恵, 久能めぐみ, 奥田章博, 粕谷マリアカルメリタ: "バイオインスパイアード糖質高分子による線維芽細胞増殖因子(FGF)の活性化"日本化学会誌. 2002・2. 155-158 (2002)
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[Publications] J.S.Klutts, K.Hatanaka, Y.T.Pan, A.D.Elbein: "Biosynthesis of D-Arabinose in Mycobacterium smegmatis : Specific Labeling from D-Glucose"Archives of Biochemistry and Biophysics. 398・2. 229-239 (2002)
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[Publications] M.C.Kasuya, H.Sugita, K.Okuyama, K.Katsuraya, K.Hatanaka: "Facile Synthesis of β(1→6)-Linked Gluco-Oligosaccharide Derivatives"Polymer Journal. 34・8. 618-620 (2002)
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[Publications] 畑中研一, 粕谷マリアカルメリタ: "糖質高分子"日本接着学会誌. 38・9. 334-339 (2002)
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[Publications] 畑中研一: "生体は糖鎖高分子をどのように認識しているか"化学. 57・6. 27-31 (2002)