2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14045211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 孝二 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40134639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
務台 俊樹 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (80313112)
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Keywords | 水素結合 / 超分子 / 階層構造 / 超分子フィルム |
Research Abstract |
本研究では、アルキルシリル化ヌクレオシド(1)の超分子ゲル中で見られた、階層的に水素結合が作用して形成されるシート状構造に着目し、シートの集積によるさらなる高次階層構造の構築や、そのような高次構造に基づく新規な高度機能性材料の開発を目的としている。このシートは、塩基間多重水素結合による一次元テープ状構造が、テープ間でさらに水素結合することにより形成される。シートの集積をうながすために、シート表面に位置するアルキルシリル基の末端に、極性のオキシエチレン鎖を導入したグアノシン誘導体(2)の設計、合成を行った。2ではゲル化能が失われる一方で、クロロホルムなどの有機溶媒からのキャストにより半透明の自己支持性のフィルムが得られた。赤外スペクトルおよびX線回折によりフィルムの構造を解析したところ、ゲル中と同様に階層的な水素結合に基づくシート構造の存在が確認され、このシートがフィルム面と平行に積み重なったラメラ構造をとっていることがわかった。これに対して、1をキャストしても自己支持性のフィルムを得ることは出来なかった。1においては、シート間相互作用が弱いために、シート間に溶媒が入り込み、ゲルを形成する事が出来るが、一方、シートの集積が起こりにくいため自己支持性の膜を得ることが出来ず、それに対して2では、シート間相互作用が強いためにシートの集積が優先し、溶媒を取りこむことが出来ないのでゲル化が起こらず、かわりにキャストによるラメラ状フィルムの形成が促進されたと考えられる。以上のように、シート間相互作用の制御により集積構造をゲルからフィルムへと劇的に変化させることが可能となり、テープ内水素結合、テープ間水素結合およびシート間の極性相互作用という3種の異なる相互作用により形成される、高次の階層構造を得ることが出来た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Mutai, J.D.Cheon, G.Tsuchiya, K.Araki: "6-Amino-2,2':6',2"-terpyridines as highly fluorescent compounds-effect of the number of pyridine rings on fluorescence properties"Journal of the Chemical Society-Perkin Transactions 2. Vol.2002, No.5. 862-865 (2002)
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[Publications] 高澤亮一, 吉川功, 荒木孝二: "水素結合性擬似高分子鎖を有するトリアミドシクロヘキサン超分子繊維の設計,作成と性質"高分子論文集. Vol.59, No.10. 616-622 (2002)
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[Publications] T.Akasaka, H.Inoue, M.Kuwabara, T.Mutai, K.Araki: "Synthesis and properties of an efficient and switchable photosensitizing unit for a photo-induced energy transfer systems"Journal of the Chemical Society-Dalton Transactions. Vol.2003, No.5. 815-821 (2003)
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[Publications] T.Akasaka, T.Mutai, J.Otsuki, K.Araki: "Photo-induced energy transfer and its switching in dyad and triad chromophore systems composed of coumarin, Ru(II) and Os(II) terpyridine-type complexes"Dalton Transactions. Vol.2003(In press). (2003)
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[Publications] A.Kishimoto, T.Mutai, K.Araki: "A distance-controlled oligopeptide linker as a novel photo-induced energy transfer switch by secondary structural transition"Chemical Communications. Vol.2003, No.6. 742-743 (2003)
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[Publications] R.Takawasa, K.Murota, I.Yoshikawa, K.Araki: "Steric Factor-Directed Alternating Supramolecular Copolymer Composed of Hydrogen-Bonded Triamidecyclohexane Units"Macromolecular Rapid Communications. Vol.24(In press). (2003)