2002 Fiscal Year Annual Research Report
競合する相互作用のもとでのエントロピー誘起による形態変化と応答機構の研究
Project/Area Number |
14045213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 精二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10143372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 宏 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (90154806)
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Keywords | 電解質ポリマー / エントロピー効果 / カウンターイオン / ミンコクスキー積分 / 分子動力学 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
電解質ポリマーの凝集形態について、セミフレクシブルポリマーに接触型引力相互作用を付け加えたモデルのモンテカルロシミュレーションによって調べた。温度や、引力の相互作用の形によっていろいろな凝集形態が準安定状態として現れることがわかったが、現れる形態を整理するためミンコクスキー積分とよばれるトポロジカルな記述を導入し、系統的に整理する方法を開発した。凝集におけるエントロピー効果を調べるため、複数個の伸びようとするバネと縮もうとするバネの組合せの系の平均の長さを温度の関数として調べた。高温ではガウス鎖としての長さになるが、基底状態の長さに移行する際にエントロピーの効果で長さが温度の非単調な関数となることを示した。エントロピー効果を制御する変数として、温度のみならず、溶媒中のイオンの効果を調べるため、電解質高分子のシミュレーションを行った。クーロン相互作用の効果をより正確に取り入れたモデルとして、ポリマー上に一価の負イオンを規則的に配置した電解質ポリマーとそのカウンターイオンからなる系の分子動力学を行い、凝集の様子を調べた。さらに、多価のイオンをその系に注入して凝集の様子がどのように変わるかを調べ、実際に実験で見られている多価イオンによる凝集の機構を調べている。関連する間題として、エントロピーによって相が制御される系としてスピンクロスオーバーの統計理論の開発も行った。高温では、エネルギー的には損ではあるがエントロピー的に有利なハイスピン状態が実現し、低温ではエネルギー的に得なロースピン状態が実現する。それらの間の変化は、分子間の相互作用によって状態が連続的に変化する場合や一次相転移を示す場合があることが知られている。それらに関する統計モデルの導入を行った。この機構は局所的に構造をもつ高分子の温度変化にも応用できると考えられ、そのモデル化を行っている。
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[Publications] S.Miyashita, M.Nishino, K.Saito: "Quantum Dynamics and Response in Nano Scale Spin Systems"Mol. Cryst. Lig. Cryst.. 376. 327-334 (2002)
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[Publications] M.Machida, K.Saito, S.Miyashita: "Frequency Dependence of Quantum Localization in a Periodically Driven System"Journal of Phys. Soc. Japan. 71. 2427-2433 (2002)
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[Publications] N.Todoroki, Y.Ueno, S.Miyashita: "Order phase and phase transitions in the three-dimensional generalized six-state clock model"Phys. Rev. B. 66. 214405 1-214405 8 (2002)
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[Publications] H.Onishi, S.Miyashita: "Quantum Narrowing Effect in a Spin-Peierls System with Quantum Lattice Fluctuation"Journal of Phys. Soc. Japan. 72. 392-398 (2003)
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[Publications] I.Chiorescu,...S.Miyashita, B.Barbara: "Adiabatic Landau-Zener-Stuckelberg transition with or without dissipation in the low spin molecular system V15"Phys. Rev. B. 67. 020 (2003)
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[Publications] M.Nishino, S.Miyashita, K.Boukheddaden: "Effective interaction range in the spin crossover phenomenon : Wajnflasz and domain models"The Journal of Chemical Physics. 118. 4594-4597 (2003)
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[Publications] 宮下精二: "相転移、臨界現象"岩波書店. 96 (2002)