2002 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性相互作用を利用したペプチドアミロイド組織化構造体の動的制御
Project/Area Number |
14045220
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三原 久和 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (30183966)
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Keywords | ペプチド / 立体構造 / αヘリックス / βシート / アミロイド |
Research Abstract |
リサイクル可能な新規の機能・構造特性を有するソフトマテリアル合成に関して、生体高分子、特に多彩な構造・機能特性を有するタンパク質(ポリペプチド)の組織化機能に学び・超えるペプチド材料システム設計・合成と動的制御を目的とする。特に近年、タンパク質の組織化・増幅現象としてタンパク質の3次元構造変化(ミスフォールディング)に起因したアミロイド繊維形成に高い関心が集まっている。高分子的観点からも、ポリペプチド1次構造がキラルかつシークエンシャルに制御され、2次構造としてのらせん構造、ひだ状構造が制御され、かつ更に3次元構造=機能へと階層的に増幅構築される。このような特性を有するポリペプチドの構築原理を解き明かすことは非常に魅力的であり、かつ新規のソフトマテリアル材料の非共有結合的相互作用に基づく動的制御に結びつく。 自己組織化するポリペプチドとして、アミロイドペプチドを選択した。アミロイド繊維はペプチドβシートが、疎水性相互作用、水素結合、静電結合により繊維状にキラルに構造制御された自己組織化集合体である。我々は、平行二本鎖α-ヘリックス構造を有すペプチドのN末端に疎水性基を導入することにより、均一環境下において自発的・自己触媒的に、α-ヘリックス構造からβ-シート構造へと転移し、それに伴いアミロイド繊維を形成するペプチドの設計に成功している。今回、種々の設計ペプチドの構造相補的組織化研究において、類似の構造を有するペプチドが存在すれば、それらが集合化の機構に基づいて相互作用し、繊維化を阻害するシステムの構築に成功した。16種ペプチドから120種に及ぶ2種ペプチド混合系を調査した際、組み合わせにより、繊維形成能を阻害するペアが見つかった。特に塩基性(リシンの過剰な)ペプチドに繊維化阻害能力が高い。塩基性(正電荷)ペプチドが混在することにより、中間体の溶解性が高まり、また電荷反発の増加により、高次の集合体形成が阻害されたと推測できる。したがって、この相同性集合化の機構をうまく利用することにより、アミロイド繊維化の能力を中和する、つまり根本原理に基づいた繊維構造組織体の制御が可能である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yuta Takahashi: "Amyloid Architecture : Complementary Assembly of Heterogeneous Combinations of Three or Four Peptides into Amyloid Fibrils"ChemBioChem. 3. 637-642 (2002)
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[Publications] Yuta Takahashi: "Complementary Assembly of Heterogenous Peptides into Amyloid Fibrils and Their Catalytic Function"Peptide Science 2001. 353-354 (2002)
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[Publications] 三原久和: "ポリペプチドの立体構造依存的自己組織化"高分子. 51. 236-239 (2002)
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[Publications] 三原久和: "アミロイド形成の分子機構と阻害"化学工業. 53. 491-496 (2002)