2003 Fiscal Year Annual Research Report
高分子と液晶分子の混合系の相分離に関する理論的研究
Project/Area Number |
14045241
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松山 明彦 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (60252342)
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Keywords | 高分子 / 液晶 / 相分離 / ネマチック相 / 等方相 / 相転移 / 孤立鎖の形態 |
Research Abstract |
近年,液晶状態のような秩序構造と流動性をもった系に,高分子や両新媒性分子やコロイド粒子などを混合させたときに起こる相分離現象が注目されてきている。また工学的応用面においては,相分離現象を利用した物質の分離や秩序化した複合材料等の設計に利用されてきている。ここでは、濃度(保存系)と配向秩序(非保存系)の2つの秩序パラメーターが競合することにより、平衡や非平衡現象の物性を支配している。本研究では,高分子と液晶分子の混合系を中心として,相分離と液晶相転移の競合に注目して,統計力学的理論を基礎として研究を行ってきた。以下に本研究で得られた主な結果をまとめる。 高分子と液晶分子の混合系の相分離を支配する大きな因子としては,高分子の分子量や,高分子鎖の硬さが重要となる。柔らかい高分子の場合,ネマチック相(N)と等方相(I)の2相分離領域(N+I)が温度と濃度平面上の相図に現れる。高分子が硬くなるにつれて,高分子のネマチック-等方相の相転移温度が高温側へ移行し,(N+I)の2相共存領域の幅が狭くなり、低温側で安定なネマチック相(誘起ネマチック相)が現れる。高分子の硬さは相図の形を決定する重要な要因となる。 温度減少に伴い,ネマチック相中の高分子鎖は"膨潤した棒状の形態"から"凝縮した棒状の形態"に相転移する。鎖の硬さによって一次相転移が連続的な相転移に変化していく。 液晶のような棒状分子の集合体がもつエントロピーを,他の分子を加えることで動的にも静的にも様々に制御できることがわかった。これらの結果が今後,相分離を利用した材料設計や液晶分子のリサイクルの問題への指針となることを期待している。液晶分子と他の粒子の混合系(液晶複合系)の探索は,まだまだ多くの謎を含んでいる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松山明彦: "Phase transitions of a polymer threading a membrane coupled to coil-grobule transitions"Journal of Chemical Physics. (2004)
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[Publications] 松山明彦: "Conformational transitions of a semiflexible polymer in a liquid crystalline phase"American Institute of Physics, Conference Proceeding. (2004)
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[Publications] 松山明彦: "Phase transitions of nematic gels immersed in a solution of nematogens"Journal of Physical Society of Japan. 73・1. 1-7 (2004)
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[Publications] 松山明彦: "Conformational transitions of a semiflexible polymer in nematic solvents"Physical Review E. 67・4. 042701-1-042701-4 (2003)