2002 Fiscal Year Annual Research Report
トリブロックターポリマーの複雑相転移と自己組織化過程に関する研究
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14045243
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 博一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60127123)
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Keywords | トリブロックターポリマー / 秩序-無秩序転移 / ミクロ相分離 / 相転移 / 小角X線散乱 / 小角中性子散乱 / 電子顕微鏡 / ナノ構造 |
Research Abstract |
AB2成分からなるABジブロックコポリマーは、A・B成分間の相互作用の大小によりA・Bがミクロ相分離した秩序状態と相溶した無秩序状態のいずれかをとる。我々は、ABジブロックコポリマーに第3成分Cを付加したABCトリブロックターポリマーの相転移と相転移に伴う自己組織化による周期構造形成の解明を目的とする研究を行い、第3成分Cの連結性がABブロック鎖間の相互作用や自己組織化過程に及ぼす効果を、小角X線および中性子散乱測定と電視顕微鏡観察から明らかにすることができた。 本研究では、試料としてポリイソプレン(PI)、重水素化ポリスチレン(DPS)、ポリビニルメチルエーテル(PVME)からなる3成分トリブロック共重合体(PI-b-DPS-b-PVME)を用いた。この試料は室温において、DPS成分とPVME成分とが相溶したマトリックス中でPI成分が格子を組まない球状のミクロドメインを形成した構造をとることが分かっている。これを140℃以上に昇温すると、マトリックス中でDPS成分とPVME成分が相分離し、PI球とPVME球の2種類の球状ミクロドメインがDPSマトリックス中に分散した構造となる。但し、このDPS-PVME間の転移温度は、同じ分子量のDPS-b-PVMEジブロックコポリマーの秩序-無秩序転移温度よりはるかに低い。また、DPS-PI間の転移温度は同じ分子量のDPS-b-PIジブロックコポリマーの転移温度より高くなる。すなわち、DPS成分とPVME成分とはLCST型の相図を持ち、DPS成分とPI成分とはUCST型の相図を持つことから、第3成分の付加は各ペアの相溶性を低下させることが明らかになった。 この現象は、エネルギー効果とエントロピー効果の両方から説明が可能である。3成分間の接触エネルギーの中で一番大きいのはPI成分とPVME成分の接触である。DPS成分とPVME成分とが相溶すると、PVME成分とPI成分との接触は必然的に増加するが、この接触を避けるため、DPS成分とPWE成分は比較的低温でミクロ相分離すると考えられる。また、DPS末端がPI球に連結しているため、鎖の形態エントロピー損失によりDPS/PVMEの混合が不安定になることもその原因の一つと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Yamauchi, H.Hasegawa, T.Hashimoto, N.Kohler, K.Knoll: "Synthesis and Morphological Studies of Polyisoprene-block-polystyrene-block poly(vinyl methyl ether) Triblock Terpolymer"Polymer. 43. 3563-3570 (2002)
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[Publications] K.Takahashi, H.Hasegawa, T.Hashimoto, V.Bellas, E.Iatrou, N.Hadjichristidis: "Four-Phase Triple Coaxlal Cylindrical Microdomain Morphology in a Linear Tetrablock Quaterpolymer of Styrene, Isoprene, Dimethylsiloxane, and 2-Vinylpyridine"Macromolecules. 35. 4859-4861 (2002)
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[Publications] 松下忠史, 長谷川博一, 橋本竹治: "ブロック共重合体ミクロドメインへの電荷移動錯体の導入"高分子論文集. 59. 860-862 (2002)
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[Publications] 山内 一浩, 長谷川 博一: "SANS, SAXSの相補的利用による3成分ブロック共重合体の相転移過程の追跡"波紋. 13・1. 25-28 (2003)