2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14046101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相原 博昭 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60167773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 昌子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (70345172)
羽澄 昌史 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (20263197)
石野 宏和 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90323782)
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Keywords | CP非保存 / 標準理論 / 素粒子 / B中間子 / 加速器 / 半導体検出器 / 対称性 / 超対称性 |
Research Abstract |
平成15年夏,本計画研究により第2世代シリコンバーテックス検出器(SVD2)を完成させた.その後,平成16年7月までに,このSVD2を用いて123M(1億2千3百万個)のB中間子反B中間子対のデータを記録し,それまでにSVD1(SVD2前身)を用いて蓄積した152MのB中間子反B中間子対のデータと共に物理解析を行い,以下のような主たる結果を得た.1)bクォークが3つのsクォークに崩壊する反応のCP非対称度の標準理論の期待値からのズレを発見した.B中間子のファイ(f)中間子とKS中間子への崩壊はペンギンダイアグラムと呼ばれる量子効果によって起こる.そこには新粒子を含む新しい物理の効果が出現する可能性がある.我々は,7種類のb→sss崩壊反応のCP非対称度を測定しその平均値0.39+-0.11を得た.この値は,標準理論の期待値0.73から約3sずれておりアノマリー(異常)と呼ばれ注目されている.今後さらに測定の統計精度を上げ,このアノマリーが新しい物理の結果であるかどうかを検証する.2)中性B中間子のp+p-対崩壊におけるCP非対称の精密測定.我々は,平成15年度にSVD1のデータ152MB中間子反B中間子対を用いて,この崩壊でCP対称性が破れている証拠を得た.今年度は,SVD2データを加えた解析により,測定精度を向上させた.その結果,CP対称性の破れは5.4sで確認され,さらに直接的CP対称性の破れについても4sの証拠を得た.我々の競争相手であるBaBarグループの結果とは依然として,2.3sの差があるが,中性B中間子のp+p-対崩壊におけるCP非対称はほぼ確定したと言える.3)超対称性など標準理論を超える理論に強い制限を与えるb→sm+m-,se+e-プロセスの精密測定を行い,その分岐比を(4.11+-0.83+0.85-0.81)×10-6と決定した.この測定は,現在世界最高の精度を誇っている.
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Research Products
(9 results)