2002 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホール形成を示す極超新星の起源と連星系の進化
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14047206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野本 憲一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90110676)
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Keywords | ブラックホール / 重力波 / ガンマ線バースト / 超新星 / 極超新星 / 星の進化 / 元素合成 |
Research Abstract |
本研究の対象は、新たな重力波源として興味深い極超新星(ハイパーノバ)である。そのプロトタイプは、ガンマ線バーストに付随して起こった超新星SN1998bwで、普通の超新星の10倍以上の巨大なエネルギーで爆発している大質量星である。今年度は、(1)観測されているいくつかの極超新星の爆発モデルの計算により、光度曲線やスペクトルをよく再現するモデルパラメータ、すなわち、親星の質量、爆発エネルギー、元素合成量(特に56Ni)を求めた。中でも、観測史上最も明るい超新星1999asの解析を重点的に行なった。SN1999asは、SN1998bwより大規模な爆発であり、そのエネルギーは、通常の超新星の30倍以上の大きさであり、その親星は、太陽質量の50倍以上という大質量星であった。特に鉄の生成量が、太陽質量の4倍程度と、SN1998bwのさらに8倍にもなることを導いた。 (2)また、非球対称な爆発と輻射輸送の効果を考慮した元素合成と光度曲線の計算を行なった。これにより、放出されたガスと残されたブラックホールの質量の推定ができ、重力波源としての性質、重力波観測の可能性を議論した。また、衝撃波の強さから、ガンマ線として放出されるエネルギーを推定した。 (3)特に大質量星の爆発と元素合成は,銀河初期や宇宙初期の極超新星となったと思われる重元素増加の源として,また重元素星の極端に少ない古い星の特異な元素組成を説明し得るものとして,予備的な研究を進めた。そこでの予備的な結果では,大質量の星ほど鉄の生成量が大きければ古い星の特異な元素組成を説明することができる。このことは,極超新星が異常に明るく大量の56Niを生成したと示唆されていることに対応しているのかも知れない。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Gerardy, C.L., Fesen, R.A., Nomoto, K., et al.: "Carbon Monoxide in the Type Ic Supernova 2000ew"PASJ. 54. 905-910 (2002)
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[Publications] Mazzali, P.A., Deng, J., Maeda, K., Nomoto, K., et al.: "The Type Ic Hepernova SN 2002ap"ApJ. 572. L61-L65 (2002)
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[Publications] Kinugasa, K., Kawakita, H., Ayani, K., Kawabata, T., Yamaoka, H., Deng, J., Mazzali, P.A., Maeda K., Nomoto, K.: "Early-Phase Spectra of "Hypernova" SN 2002ap"ApJ. 577. L97-L101 (2002)
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[Publications] Umeda, H., Nomoto, K., Tsuru, T., Matsumoto, H.: "Peculiar Chemical Abundances in the Starburst Galaxy M82 and Hypernova Nucleosynthesis"ApJ. 578. 855-861 (2002)
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[Publications] Kawabata, K.S., Jeffery, D.J., Iye, M., Ohyama, Y., Kosugi, G., Kashikawa, N., Ebizuka, N., Sasaki, T., Sekiguchi, K., Nomoto, K., et al.: "Spectropolarimetry of SN 2002ap : A High Velocity Asymmetric Explosion"ApJ. 580. L39-L42 (2002)