2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14048208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今須 良一 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (40334255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 高尚 産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 研究員
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Keywords | エアロゾル / 大気大循環モデル / 放射強制力 / 気候変動 / 気候影響 / ジメチルサルフェイト / 環境変動 / 大気汚染 |
Research Abstract |
人為起源エアロゾルの気候影響を評価するために大気大循環モデルを用いるが、その高精度化のためには、バックグラウンドエアロゾルの正確な再現が必要となる。今年度は、主にバックグラウンド大気中における硫酸性エアロゾル量の見積りに重要なジメチル化硫黄(DMS)の海洋からの放出量パラメタリゼーション方法の改良と、エアロゾルの大気中からの除去率を左右する雲水酸性度のモデル中における取り扱い方法の改良を行った。 このうち、海洋表面からのDMS放出量に関するパラメタリゼーション方法については、これまで様々な研究者により報告されている各種方法について、大気大循環モデルとリンクしたエアロゾルシミュレーションモデルを用いて比較を行った。その結果、風速を指標にしたWanninkhofの方法を改良し、放出量を半分程度に抑えることができれば、実測値の再現性の良い方法となることを見いだした。今後、その方法のテストと、より多くの観測データを用いての計算結果の検証を実施する。 また、雲水の酸性度については、酸性度が上がるに連れ、酸性ガスなどの大気中からの除去速度が遅くなり、結果として硫黄酸化物などの大気中濃度が上がることを見いだした。今年度は、モデル中で雲水の酸性度を計算する際に、硫黄系化合物とDustのみを考慮する化学反応計算部を導入した。今後、硝酸系など他の酸性物質や、アンモニアなどの中和物質に関わる反応も考慮したモデルへの移行が求められており、次年度以降、順次導入していく計画である。 本研究課題の最大の目的である観測データの気候モデルヘの取り込みと、それによる気候影響評価については、他の研究班から提供される観測データの取り込み方法の検討や物理量の選択などを行い、次年度以降に実際の気候予測計算を実施するための環境を整えた。
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