2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14048208
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今須 良一 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (40334255)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 高尚 産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 研究員
|
Keywords | エアロゾル / 大気大循環モデル / 放射強制力 / 気候変動 / 気候影響 / ジメチルサルフェイト / 環境変動 / 大気汚染 |
Research Abstract |
エアロゾルの様々な光学的特性が、気候を左右する放射場にどのように影響するかを、気候モデルを用いて評価することが、本研究の重要なテーマの一つである。 本年度は、気候モデル中で扱われているエアロゾルの光学的、微物理的特性を表す各種パラメータが、大気放射場に与える影響を調べる、いわゆる"感度試験"を実施し、過去の研究との整合性の確認を行う作業を実施した。具体的には、まず、エアロゾルそのものの存在による大気加熱率の変化(いわゆる直接効果)を計算し、これまでの研究との整合性を確認した。その中で、昼半球の対流圏において大気は浮遊するエアロゾルにより加熱を受け、一方、地表面はエアロゾルが日射を遮る効果のために冷却(加熱量の減少)され、総合するとエアロゾルは大気を冷却する作用があることが確認された。その上で、エアロゾル粒径などの基本パラメータを微小変化させることにより、大気加熱率等の変化を調べる計算を実施し、各種因子の気候影響を定性的に評価した。たとえば、エアロゾル粒径の減少に伴い、下層大気の加熱率が増加する傾向にあるという結果が得られている。エアロゾルに関する各因子間の重要性を相対的に評価するためには、それらの感度を定量的に評価する必要があり、それらは次年度における研究課題である。 また、人為的に発生されるエアロゾル量の将来における変化量と気候影響を定性的に理解する上で、エアロゾル起源物質の発生量と、各地域におけるエアロゾル濃度、および、それらの放射場変化にどの程度線形性があるかを、エアロゾルモデルSPRINTARSを用いたシミュレーションにより調べた。その結果、人為起源エアロゾルの影響が顕著である発生源近くの地域においては、場所によりエアロゾル濃度が必ずしも起源物質の発生量には比例せず、エアロゾルによる効果で輸送場の変化が生じるなどの作用が重要となる場合があることが示された。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Zhang, H, T.Nakajima, G.Shi, T.Suzuki, R.Imasu: "An optimal approach to overlapping bands with correlated k-distribution method and its application to radiative calculations"J.Geophysical Research. 108. 4641 10.1029/2002JD003358 (2003)