2002 Fiscal Year Annual Research Report
東シナ海および長崎県上空における黄砂粒子の3次元的空間分布
Project/Area Number |
14048218
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
荒生 公雄 長崎大学, 環境科学部, 教授 (40039425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 丞二 長崎大学, 水産学部, 教授 (40304969)
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Keywords | 気象学 / 大気現象 / 黄砂 / 大気微粒子 / エアロゾル / 大気環境 / 環境分析 / 自然現象観測・予測 |
Research Abstract |
長崎県地方は、大陸方面から流入する大気の日本列島上の最前線に位置するため、黄砂粒子や大気汚染物質などの大気光学的特性や大気環境学的動態を水際で3次元的に観測できる地理的条件にある。2002年に長崎海洋気象台で観測された黄砂現象の日数は、3月6日、4月12日、11月2日の合計20日を数え、年間出現日数(20日)と4月の月間日数(12日)はそれぞれ長崎での史上最多となった。また、3月21日と4月8日の最大級の黄砂現象に加えて、4月8日11時からl1日11時まで連続72時間に及ぶ長時間継続型黄砂現象や、6年ぶりに見られた秋季の黄砂現象(11月12・13日)など、珍しい事例が多い年であった。幸いにして、このような黄砂現象について、本研究グループでは、スカイラジオメーター、光学的粒子測定器(OPC)、国立環境研究所レーザーレーダー装置、同研究所ハイボリュームサンプラーなど活用して、貴重な観測データを獲得することができた。特に、3月21〜22日の黄砂現象においては、最低視程2km、直径5μm以上の粒子数1700個/L、全粒子質量800μ9/m^2など、史上最大級の黄砂現象であったことが本研究結果からも明らかになった。 本研究の目的を達成するため、東シナ海での海上観測と雲仙岳での山岳観測を実現させる必要であり、新規購入のOPC測定器2台の入荷を待って、試験的な測定を海上と雲仙岳で実施した。海上観測については長崎大学水産学部の練習船を用いて、(1)有明海中央海域上での観測(11月1〜3日)、(2)長崎〜チェジュ(済州)島往復航海観測(11月13〜18日)、を実施した。この観測によってOPC船上観測の可能性と有用性を確認できた。また、雲仙ロープウェイ山頂駅(標高1290m)での試験的連続測定にも成功し、2003年の黄砂現象をターゲットとする観測準備体制はほぼ万全である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Uematsu, M., Yoshikawa, A., Muraki, H., Arao, K., Uno, I.: "Transport of mineral and anthropogenic aerosols during a Kosa event over East Asia"J. Geophys. Res.. 107,D7. 10.1029 (2002)
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[Publications] Bricaud, A., Roesler, C.S., Parslow, J.S., Ishizaka, J.: "Bio-optical studies during the JGOFS-equatorial Pacific program : a contribution to the knowledge of the equatorial system"Deep-Sea Res. Part II. 49. 2583-2599 (2002)
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[Publications] 鵜野伊津志, 天野宏欣, 木下紀正, 荒生公雄, 村山利幸, 松井一郎, 杉本伸夫: "地域気象モデルと結合した黄砂輸送モデルの開発と1998年4月の黄砂シミュレーション"天気. 50. 17-29 (2003)
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[Publications] 荒生公雄, 伊東和博, 古謝愛: "長崎地方における1914年から2001年までの黄砂現象の経年変化"長崎大学総合環境研究. 5,1. 1-10 (2003)
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[Publications] 石坂丞二: "月刊海洋 第31巻号外"東シナ海縁辺部におけるクロロフィルの増加要因. 5 (2002)