2003 Fiscal Year Annual Research Report
クラスターイオンからナノ粒子への成長過程の観測:ドリフトチューブ法の応用
Project/Area Number |
14048227
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
長門 研吉 高知工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (80237536)
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Keywords | クラスターイオン / 大気エアロゾル / ナノ粒子 |
Research Abstract |
クラスターイオンとナノサイズ粒子を同時に観測可能なクラスター微分型移動度分析装置(C-DMA)に、大気圧中でのイオン-分子反応を解析するために開発したドリフトチューブ型イオン移動度/質量分析装置(DT-IMS/MS)を新たに組み合わせ、大気中におけるイオン核生成過程の全体を観測可能な新たな測定システムを構築した。イオン核生成における分子イオン、クラスターイオンをDT-IMS/MSで観測し、クラスターイオンからナノサイズ微粒子をC-DMAで観測することにより、イオン核生成の全体を観測しようとする実験システムである。これまでに基本的な実験システムを完成させたので、SO_2/H_2O/Air混合ガスを用いてシステムの基本性能の確認を行った。 イオン核生成の初期過程を観測するために、ドリフトチューブの電圧を変化させてイオンの反応時間を15-50msの間で変化させたところ、反応時間の増加とともにメインのイオンピークの移動度が小さくなると同時に、低移動度のイオンが増加する傾向が現れた。イオンの質量スペクトルの測定を行った結果、反応時間の増加に伴い水分子のクラスター化が進み、SO_4^-(H_2O)_nのnの分布がやや大きくなっていくことが確認できた。また主要なイオン種であるSO_4^-(H_2O)_nに対してHSO_4^-(H_2O)_nの割合が増加し、さらにHSO_4-H_2SO_4も大きく増加していくことから、反応時間とともにH_2SO_4の生成が進み、SO_4^-(H_2O)_nからHSO_4^-(H_2O)_nへのイオン種の変換が進んでいることがわかった。以上のように、反応時間とともにイオンクラスターのサイズが増加し、同時にSO_4^-(H_2O)_nからHSO_4^-(H_2O)_nへのイオン種の変換が進んで、その結果イオンの移動度が減少していくというイオン核生成の初期過程の解析に成功した。
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