2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ空間に修飾されたアゾベンゼン誘導体の機能性制御の研究
Project/Area Number |
14050045
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小嶋 政信 信州大学, 農学部, 教授 (20153538)
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Keywords | アゾベンゼン / シス-トランス光異性化 / 会合体形成 / ゼオライト / 酸化チタン / 吸着効果 / 金属イオン / 静電気的相互作用 |
Research Abstract |
溶液中におけるアゾベンゼン(AB)の光異性化機構を検証した。またABの光化学的挙動をプローブとして、ナノ細孔空間や、ナノ表面での吸着状態を評価した。 i.励起波長効果 光定常状態比に及ぼす濃度効果は、励起波長における吸収強度の違いと各波長における光異性化効率の違いに起因することがわかった。 ii.溶媒効果 366nm光を励起光に用いた場合、芳香族溶媒中ではシス体の生成効率が高いが、脂肪族溶媒中では生成効率が低いことがわかった。 iii.置換基効果 3,3'-ジメチルアゾベンゼンでは、ABの場合に見られた光定常状態比に及ぼす溶媒効果の程度が小さく、芳香族溶媒中でも脂肪族溶媒中でも効率よくシス体が生成した。4-ヒドロキシアゾベンゼン(HOAB)の場合には、溶媒により著しくシス体の安定性が変化することがわかった。 iv.会合体形成 ABのメチルシクロヘキサン溶液を用いて、吸収スペクトルの温度変化を測定したところ、会合体形成を示唆する結果が得られた。 v.フェムト秒時間分解過渡吸収スペクトル ABのシクロヘキサン溶液とベンゼン溶液に、365nmレーザー光を照射して時間分解過渡吸収スペクトルを測定したところ、溶媒依存性が観測された。 vi.三重項増感光異性化 ベンゼン中における2-アセチルナフタレン励起三重項とt-ABとの反応速度を測定した(7.2×10^9 M^<-1>s^<-1>)。また励起三重項を経由した場合には、シス体の生成効率が低いことが確認された。 vii.分子軌道計算 ab initio計算により求めたAB会合体の結合エネルギーは、AB/ベンゼン会合体の結合エネルギーとほぼ同程度であった。 viii.ナノ空間・ナノ表面におけるABの光異性化 吸着系におけるアゾベンゼンの光異性化は、置換基により制御されることがわかった。吸着サイトに存在する金属イオンや水酸基との相互作用に起因すると推定した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Kojima, M.Nakajoh, C.Matsubara, S.Hashimoto: "Photooxygenation of aromatic alkenes in zeolite nanocavities"J. Chem. Soc. Perkin Trans. 2. 1894-1901 (2002)
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[Publications] 小嶋政信: "ゼオライトナノ細孔を利用する光化学反応の制御"化学工業. 53(9). 666-672 (2002)
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[Publications] M.Kojima: "Photoinduced Electron Transfer Reaction of Charge-Transfer Complexes Comprising Organic Substances and Oxygen Molecule Formed in Solutions and in Zeolite Nanocavities"Handbook of Photochemistry and Photobiology edited by H. S. Nalwa, American Scientific Publishers. Vol.2 Chap.11. 501-523 (2003)
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[Publications] M.Kojima: "Photochemistry in Zeolite Nanocavities"Encyclopedia of Nanoscience and Nanotechnology edited by H. S. Nalwa, American Scientific Publishers. (in press).