2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14050068
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
谷本 能文 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (10110743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 好恒 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00209131)
藤原 昌夫 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (00199390)
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Keywords | 界面 / 光反応 / 磁場効果 |
Research Abstract |
まず,酸化チタン(アナターゼ)を懸濁した塩化白金酸の水メタノール溶液にアルゴン雰囲気,磁場下(0-4T)でキセノンランプ光を照射した。この系では,白金を担持した酸化チタンの光励起によって水素と二酸化炭素が発生する。発生する気体を捕集し,その体積を計量することによって,気体発生量に対する磁場印加の影響を検討した。発生量は数mlと少なかった。磁場印加とともに発生量は減少し,4Tの磁場下ではゼロ磁場と比べて数%の発生量の減少が見られた。次に,チタン板をガスバーナーで焼いて,チタン板表面に酸化チタン粒を付着し,白金板を用いて光電池を組み立て,光照射によって生ずる光電流に対する磁場の影響を調べた。4Tの磁場印加によって光電流は数%減少し,気体発生反応の場合と同様に,反応が抑制されることが分かった。 これまで,4Tの磁場印加の影響を検討してきたが,変化は数%の反応収率の減少と小さく,機構の解明は困難であった。今後,15Tの強磁場を用いて実験を行う。10%以上の変化が見出され,実験精度が向上すれば,磁場強度依存性のデータから機構の追求を行う。さらに,ルテニウム錯体,ポルフィリン,エオシンを光増感剤とする光触媒反応に対して,磁場印加の効果を調べる。光増感剤を用いることによって,反応収率の増加と実験精度の向上が期待できる。 液体固体界面における光反応では,均一磁場の影響として,イオンの流れに対するローレンツカ(MHD機構)とラジカルの再結合に伴う電子スピン変換の加速抑制(ラジカル対機構)が,勾配磁場の影響として,触媒表面に生成するラジカルに対する磁気力が考えられる。特に,酸化チタンと増感剤の間の電子移動によってラジカル対の生成が予想される場合があり,そのときはラジカル対機構が機能する可能性が高い。
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